【悪魔の父親】と愚痴。 ページ16
『ほい、いきなり掴んで悪かったな。』
「あぁ、こちらこそすまない。」
ガキ達の相手をしながら下った山道。
Aは呆れ半分、といった顔だった。
それは、あのおっさんのせいだ。
茶色い帽子を目深に被って、顔が見えなくて怪しげな雰囲気を醸し出しているが、悪いやつではなさそうだ。
そんな推測をしている間にもガキは足やら腹やら色んなところにまとわりつく。
半ば振り払うように教会へ帰る。
教会の中ではRasazyが山積みの本に囲まれていた。
「ただいま、Rasazy。」
「あ、お兄ちゃんおかえり。どうだった?」
「駄目だったよ、チッ、あのクソ親父に美味しいとこ全部持ってかれた。」
「パパが捕まえたの………」
「それにカッコつけて、ママとAの仲を深めるきっかけになったんだ。」
Aをとられたのも癪だが、数ある参加者の中で何より親父にとられたことに腹が立つ。
しかもあの、勝ったぞと言わんばかりの笑みは俺をキレさすのには十分だった。
後ろでママに笑ってと言われていたとはいえ、普段笑わないくせにこういう時だけやるとか、煽ってるようにしか思えない。
すみっこでぐちぐちとRasazyに言っていれば、そんな俺に気づいたのかAがやってきた。
『どうしたんだ、Selever。困りごとでもあるのか?』
何も知らないくせによく言えたものだ。
「Aには関係ねぇ……少し放っといてくれ………」
『……やだ。』
今は構って欲しくない。
情緒不安定なやつだなと自分でも思ってる。
そんな状態の俺を構ったって何もいいことがあるわけないのに、わざわざやってくる。
こいつは妙な所で頑固だ。
「とりあえず、俺のためだって思ってるのなら余計なお世話だ。」
『いや?Seleverのためじゃねぇよ。Rasazyちゃんが困っているから助けに来ただけだ。』
いつもこいつはこうやって、俺に気を使わせないようにする。
文面だけでみたら、俺がただ単にヘラってるだけだ。
この怒りはぶつける場所を、あるまじき人へと見出した。
特別、Aが何かやったわけでもないのに、腸が煮えくり返りそうなくらいの苛立ちを覚えた。
八つ当たりなのは分かってる。最低なのは分かってる。
でもそうしないと、他でもない俺が壊れてしまいそうで怖い。
恐怖に駆られて、そのまま怒りをAへとぶつける。
「何も知らないくせに!何を知った気になってるんだ!放っとけと言ってんだから放っとけ!」
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おげげいげ(プロフ) - 無名さん» 待たせてしまい、申し訳ありませんでした! (2021年10月11日 15時) (レス) id: 2c07cc7f92 (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 復活おめでとうございます!ワ-イ (2021年10月10日 17時) (レス) id: 776fdad7d6 (このIDを非表示/違反報告)
ヘル - おう…気を付けてー! (2021年9月20日 0時) (レス) id: efcdee336a (このIDを非表示/違反報告)
たっくぅ - 楽しみだぜ ゲヘヘヘヘ (2021年9月17日 22時) (レス) id: b647fd1089 (このIDを非表示/違反報告)
ヘル - さあこっからどうなるのか…楽しみですねぇ…フフフ (2021年9月13日 18時) (レス) id: 39d77ce8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おげげいげ | 作成日時:2021年9月8日 20時