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「…っ、すみません」
「邪魔だからあっち行ってろ」
そこで誰かが庇ってくれるなんてことはない。
「はい」と、その場から離れる私を見向きする人も居ない。
「次は〇〇から始めるぞー」
私が居なくても稽古は当たり前に進んで行った。
稽古場には居られなくて廊下へ出て、けれど離れて何をやってるか完全に分からなくなるのも不安だったから音や声が聞こえるくらいの距離の場所で膝を抱えて蹲った。
悔しかった。
予想以上、いや更にその上を行くくらい稽古初日はついていけなくて、座長である凪の顔に泥を塗ってしまったことが悔しくて情けない。
凪ならもっとできたはずだし、この舞台が初めてだっていう私よりも若いJrの子でも今も必死に食らいついて行ってるのに、私は参加するなと言われて素直に従ってしまっている。
「くっ……っう……」
泣くなっ馬鹿！！ 泣いたってどうにもならない。
なのに涙は止まることなく流れてきて、もう汗と涙でぐちゃぐちゃだ。
暫くすると音が止んだ。休憩なのか人の気配がするのに、私は顔が上げられないでいると隣に人の気配を感じた。
………誰？
腕の隙間から見ると、目が合った。
「ナギくん寝てるのかと思った」
「ラウール……」
「ふふ、お昼休憩だよ。初日だからって滝沢くんが全員分の豪華弁当買ってきてくれてるの。ね、一緒に食べよ？」
ピトッと肩を寄せてきて、きゅるるんな瞳で私を誘うラウールくんだけど、確かにいつもなら可愛いから直ぐに頷く私も「要らない。食欲無い」食べる気すら湧いてこないんだ。だからごめんねって、また顔を伏せた。
「なくても食べなきゃ駄目だよ。ナギくん俺よりも体力落ちてるじゃん。体力つけるなら、栄養しっかり取らなきゃじゃん」
真っ当なことを言われてぐうの音も出ない。
体力をつけなきゃ駄目なんだよなぁ、女にしてはなかなかある方だとは思っていたけど滝沢歌舞伎では通用しなかった。
「ね、行こうよ」
「……うん」
私よりも大きな手を掴んだら、グイッと起こされてズンズンと遠慮なく部屋に連れ戻される。
一人だと入りにくいというか今でも若干気まずいけど、そんなの関係ないよってラウールくんは言ってくれてるようで、彼のおかげで稽古場の奥にある休憩スペースに戻った。
「ナギこっちきなぁ」と私を呼ぶのは、頭をタオルで覆ってる深澤くん。
ラウールくんに連れられて、深澤くんの隣りに座らされると、机に「ほいナギのね」とお弁当とお箸を渡された。
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ゆきんこ(プロフ) - yuyuさん» コメントありがとうございます！ キュンキュンさせすぎてすみません😂(よし！) 少しでも癒しになっていたら書くかいもあります！！ (2022年7月26日 23時) (
レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやぱんさん» コメントありがとうございます😊 💛💜ですね！最初の方から女性として接してたので😌移行作業頑張ります！！！ (2022年7月26日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - sakiさん» コメントありがとうございます😊 この章のトリにしましたね💛距離感ですか！誰とどうなるか、これからも応援よろしくお願いします！ (2022年7月26日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - pontasasukeさん» コメントありがとうございます！ ええっ！初めて！？ そんな初めてもらえて、それを教えてもらえたのがまた嬉しいです😆ありがとうございます！体調崩しておりましたが、やる気いっぱいになりました！頑張ります！！ (2022年7月26日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうございます😊 さて誰を選びますかね😌 (2022年7月26日 22時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2022年6月17日 9時
