6錠目:『ルーティンとジンクスは全く違う』 ページ6
＿
｢(っ、今何時!?)｣
不意に目を覚まし飛び起きる。
この部屋には時計がない上、付けていたはずの腕時計も外されていた。
｢(盗られた…ッ!?)｣
冷静に昨日の夜を思い返す。
運悪く遅延に巻き込まれて、最悪な結末を迎えようとして、Aに助けられて__
｢(そうだ、Aと折緒___!!)｣
鉛のように重い身体を奮い立たせ、木製のドアを開く。
｢あ、おはよ〜佐曽塚。いや、時間的にこんにちはかな? まあどっちでもいいか｣
｢(こんにちは…ってことは昼!?)｣
目に入った時計を針を見て俺の血の気は全て引いた。13時45分、終わった。
｢まぁお座りになって。佐曽塚くん｣
｢ダ、メ……俺、仕事、かいしゃ｣
｢今日土曜日ですぞ｣
語尾が定まってない彼女の揶揄いにツッコミを入れている場合ではなかった。
今までどんなに仕事でミスをしても、遅刻と早退だけはしなかったのに。
｢どようび、でも、会社ある。…無給だけど｣
｢は〜〜、やっぱり。サービス出勤してたんだね｣
彼女は俺の名刺を片手に両肘をついてため息を吐いた。どうやら既に鞄の中を弄られたみたいだ。
｢あ、名刺入れしか触れてないから安心して。……佐曽塚、この会社クソブラックで有名な所だよ｣
｢えっ、と...｣
｢でもその悪名はここ数ヶ月で目立ち始めたみたい。しかも結構な大企業だ。気がつかなくても仕方ないね｣
｢(どうしよう、上司になんて怒鳴られるかな、クビかな)｣
｢はい、退職届。書いて｣
｢えっ｣
｢えっ?｣
二人の間に妙な空気が流れる。お互いの予想外という感情がぶつかり合った。
｢あんな劣悪な環境の会社にまだ勤め続けるの? このままでいいの?｣
｢でも、逃げられない、から｣
｢……そう。それが佐曽塚の幸せなら、私は引き止めない｣
幸せ。
あぁ、幸せってなんだっけ。昨日もそんなことを考えていた気がする。
｢『幸せになるぞ、俺ら』｣
先輩の言葉を思い出した。そうだ、幸せになるんだ、俺は。
考えろ、幸せって何だ。
星章学園でサッカーをすること、皆で美味い飯を食うこと。川の字で眠ること。君を笑顔にすること。
｢幸せじゃ、ない」
本来担当ではない仕事を押し付けられて、それをこなして。
意味もなくストレスの捌け口にされて、怒鳴られて、給料もなく働いて。
淡白な飯を食って、休む暇なく働いて、汚れた道路と満員電車に押し潰されて。
違う、これは間違ってる。
｢今の俺、シアワセじゃない!!」
声の限り、宣言した。
_
8錠目:『私(わたくし)、攻めます。』→←5錠目:『専売特許剥奪の危機』
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星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月8日 11時) (
レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - ゆりりんさん» わ〜!! 勢いある挨拶ありがとうございます〜^^ ちまちま更新していきますので気長にお待ち頂けると幸いです (2021年2月2日 1時) (レス) id: f96d68692e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - まず最初に…好き!!（挨拶）続きが読みたくてたまらないです！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 棘水さん» 了解です！また何かあったら声掛けますんで、これからも更新頑張って下さい！！ (2019年4月9日 15時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!! が、合作イベント....!!大変魅力的で参加したい気持ちは山々なのですが私生活の多忙や内容が合作内容が全く分からず他の皆様にご迷惑をかける可能性しかないので今回は辞退させて頂きたく思います....また機会がありましたら是非....!! (2019年4月8日 22時) (レス) id: c7cb6e701d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棘水 | 作成日時：2018年7月20日 13時
