26錠目:『そっか、不可抗力だったわ』 ページ25
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Aはふわりと揺れた髪を耳にかけ、不思議そうに俺を見上げる。酒臭くないだろうか。
｢な......んで此処に......!!｣
｢なんでって、ここ私の最寄り駅だし...｣
｢おぁ...マジか｣
振り向くと、駅舎には聞いた事のある名称の文字が目に入った。
Aが開く予定の店に出入りすることは数多くあったが、彼女の住んでいる地名などの詳しい場所はよく知らなかった。
｢ねえ、顔色悪くない?｣
いいのだろうか。
俺なんかがAの声を、仕草を、時間を独占してしまって。
1度とはいえ、欠点の無い水神矢との縁談を断ったのは何故なのだろう。
偉そうに宣戦布告した癖に俺は、Aを好きになる資格すら持っていないのではないか。
｢......ゔっ｣
｢ちょっ、え...大丈夫?!｣
醜い劣等感が三竦みになって襲い掛かかり、そんな感情が連動する様に胃が勝手に収縮を始める。
居酒屋で飲み食いしたさほど美味くなかったアレやソレが暴走し始めた。
やばい、という本能が僅かに残った正常な思考力を働かせ思わずしゃがみ込み口元を覆った。
｢わっ、ちょっと待って!! も〜、飲み過ぎたでしょ!!｣
｢....悪ぃ。ぶちまけないとは、思...ゔぅ...｣
両手に大きなエコバッグを2つ抱えていたAはそれを置き、片方の荷物を漁りペットボトルの蓋を開けた。
｢ゔぁ〜...マジでごめん。胃がめっちゃ気持ち悪い〜...｣
｢深呼吸して、これ飲んで...あ、急に立ち上がったらダメだよ?｣
差し出されたスポーツドリンクを3分の1程度飲み、何とか立ち上がる。
｢スポドリ買ってあるって、神かよ｣
｢本当に偶然だね。ポカリのカクテルが作れるって聞いたからメニューに追加しようかな......って、酔ってるのにお酒の話しちゃダメか｣
今日の営業はとっくに終了しているバス停のベンチに2人で座り、俺は間隔の長い呼吸を繰り返す。
｢別に構わねーけど、1人でこんな夜遅くに出歩いたら駄目だろ、危ないっつーか...｣
｢...この街は治安が良いから平気。折緒はまず自分の身体の心配をした方がいいよ｣
｢オッシャルトーリデス...｣
｢ふふ、晩酌はしばらく延期だね｣
隣で笑うAに、俺の不甲斐なさを悟られたくなかった。
｢ほんと悪ぃ...こんな飲んだくれになる筈じゃなかったんだ｣
｢...貴方も佐曽塚も、大人になると皆最初に謝るんだよねぇ、それに何度も｣
｢あー...まぁ｣
どうにもならない指摘に対して返答に戸惑うが、言われてみれば確かにその通りだった。
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27錠目:『能あるオリオンは爪を磨く』→←25錠目:『君以外と飲む酒はイマイチ』
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星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月8日 11時) (
レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - ゆりりんさん» わ〜!! 勢いある挨拶ありがとうございます〜^^ ちまちま更新していきますので気長にお待ち頂けると幸いです (2021年2月2日 1時) (レス) id: f96d68692e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - まず最初に…好き!!（挨拶）続きが読みたくてたまらないです！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 棘水さん» 了解です！また何かあったら声掛けますんで、これからも更新頑張って下さい！！ (2019年4月9日 15時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!! が、合作イベント....!!大変魅力的で参加したい気持ちは山々なのですが私生活の多忙や内容が合作内容が全く分からず他の皆様にご迷惑をかける可能性しかないので今回は辞退させて頂きたく思います....また機会がありましたら是非....!! (2019年4月8日 22時) (レス) id: c7cb6e701d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棘水 | 作成日時：2018年7月20日 13時
