24錠目:『知らなくてはならないこと』 ページ23
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｢その話?...って、どの話だ?｣
追加で注文した超炭酸ジンジャーハイボールを数口飲み、一息ついたところで聞き返す。
｢俺にとってAは、誰より大切な人なんだ｣
｢ぶっは、珍しいな。そんな直接的に言うなんて｣
大して驚かなかった。水神矢がAに好意を寄せていたのは分かり切っていたから。
相変わらず完璧過ぎる顔の造形に若干の嫉妬を抱きつつ、次の言葉を待った。
｢.....11年と4ヶ月｣
｢んァ? 何の日数だよ?｣
｢俺がAを想い続けている期間だ。...折緒も大体同じくらいだろ?｣
｢ッはぁ?! い、いや何で急にそうなるんだよ!!｣
飲み干そうとしたグラスの手を止める。
中の氷が大きく音を立て、俺の体温を吸い取るように結露を作った。
｢中学受験をして星章に入って、サッカー部に入部して...やっとの思いでAをマネージャーに誘ったんだ｣
｢...あぁ｣
｢2年で俺はキャプテンになって、Aも敏腕マネージャーとして皆に頼られて、2人で試合の作戦を練ることが多くなった。至福の時間だったんだ｣
｢それで全国1位にもなれたしなぁ...本当に懐かしいよなぁ｣
成程。
暫く会えなくなる故に昔話に花でも咲かせるのか、と解釈し相槌を打つ。
｢大学受験、俺達は部活の実績があったから推薦で難関大学にも入れただろ? それでもAは勉学を怠らなかった｣
｢言われてみりゃ...そうだな、Aもお前も｣
俺達3年の引退後、図書室の閉館時間まで机と睨めっこしている2人をよく見かけたことを思い出した。
｢俺はAが好きだった、ずっと。隣に相応しいのは俺だと誇れたんだ｣
｢......お似合いだと、思うぜ｣
本心半分、嘘半分の返事をした。
傍から見たら2人は誰もが認める美男美女だと評されるだろう。
水神矢が要らないと言ったハイボールを一気に半分まで飲んだ。
｢23歳の誕生日、親から縁談の話を持ち掛けられた｣
｢え...縁談ッ?! この時代にか...?!｣
｢勿論俺も猛反対した。想い人が居ることも説明したし、時代を逆行してるってな｣
店員が忙しなく空いたグラスを片付け、適当に会釈をする。
｢え...つまり、お前結婚すんの!?｣
｢......相手は誰だと思う?｣
｢わかんねぇよ...お前ん家金持ちだし、それに釣り合うお嬢様なんじゃねーの｣
｢...ほぼ正解だ｣
｢おー、よく分かんねーけど...おめでと｣
｢本当に心から祝福してくれるか?｣
｢は?｣
水神矢は目を伏せながら僅かに笑った。
『相手は、Aだぞ』
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25錠目:『君以外と飲む酒はイマイチ』→←23錠目:『男、騒音、カウンターにて』
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星猫 - もう一つのｐｃがしました。初めまして！とっても素敵です！高評価しました！ (2021年9月8日 11時) (
レス) id: 7d3fe1e696 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - ゆりりんさん» わ〜!! 勢いある挨拶ありがとうございます〜^^ ちまちま更新していきますので気長にお待ち頂けると幸いです (2021年2月2日 1時) (レス) id: f96d68692e (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - まず最初に…好き!!（挨拶）続きが読みたくてたまらないです！ (2021年2月1日 20時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - 棘水さん» 了解です！また何かあったら声掛けますんで、これからも更新頑張って下さい！！ (2019年4月9日 15時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
棘水(プロフ) - アインツバルさん» コメントありがとうございます!! が、合作イベント....!!大変魅力的で参加したい気持ちは山々なのですが私生活の多忙や内容が合作内容が全く分からず他の皆様にご迷惑をかける可能性しかないので今回は辞退させて頂きたく思います....また機会がありましたら是非....!! (2019年4月8日 22時) (レス) id: c7cb6e701d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棘水 | 作成日時：2018年7月20日 13時
