48話 ページ7
すると、突然隣から甲高い声がした。
「ん〜とね〜、私はぁ白雪姫がいいと思う!!」
体をくねらせながらぶりっ子して言った村上くん。
その瞬間一気にクラスの空気が緩んで
「いやお前じゃねぇわ!!!!!」
「ラウールノリノリじゃんかよ」
「もうあいつに姫やらせる?」
「待って待って!!!嘘!嘘だから!!」
みんな村上くんを女装させるノリで固まってさっきまでの圧迫するような空気感が霧散した。本人はとても嫌がっているけど。そこに後ろの方から声が飛んできた。
「‥‥‥それ、いいんじゃね?」
岩本くんの一声でみんなの視線が集まる。
そのまま彼が発言を続けた。
「女子はAさんだけだし、それだと他の女子役を男がやるのも中途半端だから、いっそ全員男が演じることにするのは?‥‥‥宝塚の逆verみたいな」
「‥‥‥‥何それ」
『‥‥‥‥面白そう〜!!!!!』
今までの出し物でそんなの見たことない。
そう思ったのはみんなも同じだったようで、一転クラスのムードは乗り気になった。
演劇部部長も「良いですねぇ‥‥!!」と何度も深く頷いている。これは、決まりかな?
村上くんの方を見ると彼も私の方を見ていて、ぴたりと音が聞こえるほど目が合ってしまった。
咄嗟にそらそうとしたら村上くんが先にニコリと笑う。
その顔があまりにも優しく見えて。
「じゃあ俺らのクラスの出し物は演劇〜逆宝塚ver〜でいこうと思います。賛成の人は拍手!」
パチパチと拍手が鳴り響く中、さっきの笑顔が頭から離れてくれなかった。
その後少し話し合いが続いて演目は"白雪姫"をやることになった。
肝心の配役に関しては一度部長が持ち帰って考えてくれるみたい。みんなどの役がいい、とか希望は特段ないみたいだからそのような段取りになった。
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作者名:Haniko | 作成日時:2022年11月23日 11時