52話 ページ11
「おはよう！！」
「わっ。‥‥‥お、おはよう」
いつも通り早めに来て予習していると突然大きな声で挨拶をされた。隣にはニッコニコの村上くん。
‥‥‥今日テンション高いなぁ。
「今日も天気がいいねぇ」
「うわ！俺たち日直じゃん！最悪だ〜」
「お腹すいたぁ。早弁したい」
大した返事もしない私に対してずっと楽しそうに話しかけてくる。最初の方の目も合わなかったあの頃は何だったんだろう‥‥‥。
でもニコニコ笑ってくる顔から何故か目が離せなくて、前にもこんなことがあったような気がした。なんだったかな。
「はーい、じゃあSHR始めるぞー。日直号令！」
先生の声で思考が散らされてそのまま慌てて号令をかけた。
4限の英語の終わり際に
「はい、では今日提出の英語のワークを日直の人。まとめて持ってきて貰ってもいい？」
英語担当の先生に言われて一も二もなく頷いた。
だけど‥‥‥纏めるということはみんなに声をかけるということ。
日直になるとこういう瞬間が時々訪れるから辛かった。
女の子ならまだしも男子に声をかけるなんて。
しかもワークが終わってない人はちょっと鬱陶しい感じで見てくるでしょ？もう‥‥‥‥‥最悪だ。
「Aさん」
「‥‥‥‥はい」
「俺全員分集めちゃうから運ぶのだけ一緒にやって貰っても良い？」
「え？‥‥‥どうして」
「あ‥‥‥えっと、男の人苦手かな？と思って」
いつもの様子見ててちょっと思っただけなんだけど。
慌てて手を振りながらそう言ってるけど、私は気づかれていたなんて思わなくて思考がフリーズしていた。
あ、でも。そう考えたら。
「消しゴム拾ってくれた時に手が触れないようにしてくれたり、あまり目が合わなかったのもそう思って‥‥‥？」
「うん‥‥‥ごめん、いらないお節介だったら」
「いや、あの。‥‥‥嬉しい、です。ありがとう」
今度は自然に笑えた気がする。
だけどお礼を言った私に村上くんの表情が固まったかと思いきや、じわじわと赤みを帯びて終いには俯いてしまった。
「あ、じゃあ。俺声かけてくるから‥‥」
「うん。よろしくお願いします‥‥‥」
お互いドギマギしながら解散して、村上くんが全員分集め終わった頃にまた2人で職員室に向かった。
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年11月23日 11時
