37話 ページ37
「ウレシイこと言ってくれたお兄さんたちに〜‥‥‥プレゼントだよっ！！！！！」
そう言って顔面に両手に持ってたクレープを一つずつ食らわせてやった。
そいつらが目眩しを食らってる間にAちゃんの手を引いて走り出す。
「ウワッなんだこれ！？くっそ、ベタベタすんじゃねぇか‥‥！」
「おいあいつらどこ行った‥‥足速っ」
「ハァハァハァ‥‥‥待っ、待って‥‥」
「え？‥‥‥うわぁっ！！ごめん！！！」
無我夢中で走っててふと後ろを振り返るとAちゃんが顔を真っ赤にして息を切らしていた。
どうしよう、死んじゃう！
「えっと、水！水買ってくる」
「だ、大丈夫‥‥持ってる」
「ごめん‥‥‥‥‥本当ごめんなさい」
「‥‥‥謝らないでよ舞子ちゃん。助けに来てくれて本当に嬉しかったよ？」
「でも、1人にさせなきゃあんなことにならなかったのに‥‥‥！」
マジで何やってんだよ‥‥‥自分。
なんで1人にさせたの？こんなに可愛い子すぐ狙われるって、なんでそこまで頭回らなかったんだよ。
自分を責める思考がさっきから止まらない。
あの現場を目の当たりにしたとき真っ先に自分への怒りが湧いて、次にあの男たちをどうにかしなきゃって気持ちでいっぱいになった。
「舞子ちゃんがそこまで責任感じる必要ないよ。それを言うなら私だって」
「？‥‥‥私だって？」
「舞子ちゃんを危ない目に遭わせた。絶対怖かったはずなのに1人で戦わせてしまって、本当にごめんなさい」
「そんなの‥‥‥良いんだよ、だって」
俺、男だもん。
その続きを言えるわけもなかった。
そっか。今の俺じゃ‥‥‥‥女友達じゃ、こういう時に守ることも出来ないんだね。
俺、Aちゃんと友達として肩を並べて歩くのも楽しかった。
でももうそれだと満足できないんだよ。
次は、Aちゃんの手を引いて守れる存在になりたいんだよ。
恋人として。
「次からは絶対に私が守るから、舞子ちゃんのこと」
「そんな‥‥‥ないで」
「‥‥‥？舞子ちゃ」
「そんなこと、言わないで」
俺は、悔しくて、もどかしくて、愛おしくて、壊したくて、守りたくて。
そんな衝動のまま、戸惑うAちゃんの肩を引いてその唇にキスをしていた。
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年11月6日 13時
