4話 ページ4
「す、すみませ‥‥‥！」
彼女は同じクラスのAAさん。
理系クラスで常に成績トップ。勉強だけかと思ったら運動神経も抜群で多くの運動部からスカウトを受けるほど。
じゃあ勉強と運動だけかと思ったらこれまたびっくり容姿も整っていて。
本当に漫画に書いたような才色兼備の生徒だった。
唯一の欠点を上げるとするならば‥‥‥感情表現が乏しいところ？常にクールで表情を崩さない彼女はその能力も相まって完全にクラスで高嶺の花と化していた。
だから、こんなに驚いた彼女の顔は見たことがない。
‥‥‥そんなに引く？
彼女が震えるほど俺の女装にドン引きしている。
やばいなんて言い訳しよう。
周りの人に変に告げ口とかはしないと思うけど今後彼女にドン引きされながら高校生活を2年間過ごす‥‥‥？
え無理なんだけど！
そんなことを考えている間に彼女が震えながら何か口にした。‥‥‥ん？
「か、かわいい‥‥」
「‥‥‥？」
「あ、あの！突然、こんな申し出おかしいと思うんですけど、」
彼女が目線を下に右往左往させながらこちらを見上げて、あぅ、とかうぅ‥‥とか言ってる。
一体今から何を切り出されるのか。
俺は固唾を飲んで彼女の口元を見守った。
「友達に、なってくれませんか」
‥‥‥‥‥これは、ナンパ成功？
彼女に『友達になってください』と突然言われて暫し固まってしまう。
え、友達‥‥‥俺と？
なんで急に？自分で言うのもなんだけど俺結構な変態だよ。今の状態がね。
そんなやつに急に友達になってくれって、彼女も罰ゲームだったり？
あれ、まって。
これ、もしかして俺がクラスメイトだって気づいてない‥‥‥？
しばらく思考を巡らせてやっと彼女が今の俺＝村上だと気づいて無い可能性に気付く。
えーーーーー、ますますどういうことなんだろ。
そう思っていると彼女が恐る恐る口を開いた。
「すみません‥‥気持ち悪いですよねでは」
「ちょちょちょ、待って！ごめんね、なんで急に？って思っちゃって‥‥」
たった一言。そう聞いただけだった。
それなのに少し腰を屈んで彼女と目線を合わせた瞬間、彼女の瞳がウルっときて‥‥‥。
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年11月6日 13時
