17話 ページ17
映画のチケットを買ってお供のポップコーンも勿論買って少し早めにスクリーンに入る。
隣でAちゃんがずっと楽しみだね、楽しみだね？って言ってるから笑いが込み上げてきてしまった。
「ふふ、そんなにこの漫画好き？」
「え‥‥？あ、ちが、いや違くないけど！
そうじゃなくて、友達と映画観るのが楽しいんだよ。この後感想言い合ってあーでもないこーでもないって言うのが‥‥今から楽しみなの」
仕方ないでしょ？友達いないんだもん。
ってちょっと怒ってる風に言ってる。
何それ。逆ギレ？
怒り方ちょっと可愛くて笑うことしか出来ないよ。
映画は女子高生のヒロインが消防士のお兄さんと恋に落ちるっていう話だった。
相手役が消防士ってあまり聞いたことないからどんな話だろうと思ってたけど、恋愛以外にも夢に向かってヒロインが進む姿に感動して、男の俺でも結構楽しめた。
場内が少し明るくなって周りの人が立ち上がっていく。
隣のAちゃんは案の定大号泣だ。俺でもすごい感動したもんね。
原作が好きな彼女ならその感動もひと塩なんだろう。
「うぅ〜‥‥‥」
「面白かったね！すごい感動した」
「でしょぉ‥‥‥！？すごい好きなの‥‥！とにかくヒロインの女の子が素敵で」
「‥‥‥ん？そっち？」
「？そっち、って？」
「いや、消防士のお兄さんがカッコよくて好きなんじゃなくて‥‥？」
「いや、それも魅力だけど主人公がひたむきに夢に向かって努力したり、相手に寄り添って自分の気持ちを押し付けない素直さがすごく憧れるの。私もそんなふうになりたいなって‥‥‥！」
目をキラキラと輝かせて憧れを語るAちゃん。ちょっとホッとしてしまう。
‥‥‥ん？ホッと？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 441人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Haniko | 作成日時：2022年11月6日 13時
