52話 ページ8
「おはよう〜！！Aちゃんが今日は企画してくれたんでしょ？マジでありがとう！」
由依ちゃんが朝から眩しい笑顔でそうお礼を伝えてくれる。
普段からおしゃれさんな彼女だけど今日は一段と輝いていて、佐久間がきてるから気合いを入れて来てくれたのかな、なんてつい邪推をしてしまう。
「今日はアトラクション全制覇するぞー！！！大ちゃん絶叫系行ける人？」
「え俺？おぉ！全然行けるよ」
佐久間が親指を立ててそう言うと由依ちゃんは一層笑顔を綻ばせて佐久間に近づいた。
「え〜じゃあどれから乗る？ジェットコースターとー、あ！フリーフォールだって！あれだよね確か‥‥」
そう言いながら2人が先に進んでいったので後を追う。
キューティクルのかかった明るいショートヘアが、ピンク髪の佐久間の隣に並ぶと妙にお似合いで。
同じ空気感ではしゃぐ2人をただ後ろから見つめていた。
するとラウールくんが
「えー僕最初なんかご飯食べたーい」
と言って2人の元へ駆け出していく。
思わず止めたくなってしまったけど
「おはよう」
「おはよう、照くん」
「今日は皆んなで遊びにきてんだからさ。肩の力抜いて楽しもうよ。ね？」
そう言って目尻を下げて柔らかく笑った。
私そんなガチガチに見えてたのかな。
まぁ、2人をどうにかしようって気合いが入りまくってしまっていたかも。
これじゃあ佐久間に怪しまれるかもしれない。
ただでさえ佐久間も朝様子が可笑しかったし。
「‥‥‥そうだね！」
「Aちゃんって絶叫系いける人？」
「‥‥実はね、全然ダメなの」
「奇遇だね。俺も」
「え、うそ！？全然平気そうなのに‥‥」
「はは、意外とビビりなんだよね俺。絶叫系もお化け屋敷も無理だし」
「えぇ‥‥‥なんか、ごめん。私2人のことばっか優先して遊園地なんて」
「なんで？俺今ラッキーって思ってるよ」
「‥‥？ラッキー‥‥？」
「今日はチャンスみたいだから、俺」
そう言って私を見下ろし悪戯っぽく笑う照くん。
チャンス‥‥‥あ、そっか。私がいるから。
「うん、私がいるから大丈夫だよ。絶叫系の時は2人で待ってよう！」
「‥‥‥そういうことじゃないんだよなぁ」
照くんが呆れたように笑ってたけど何のことかさっぱりだった。
てか、3人のこと見失っちゃう！
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年10月27日 18時
