68話 ページ24
病気治ったって言ってた癖に。嘘つき。
病気だって知ってたらこんな旅乗らなかったし
家で安静にさせたし
アイスだってあんなに食べさせなかったし
イベントだって避けたし
祭りだって短時間で帰ったし
北海道にだって来なかったし
てかバイトさせないし
BBQだって野菜たくさん食べさせたし
ジェットコースター乗せなかったし
好きにだって
‥‥‥好きにだって？ならなかったのかな。
きっと、佐久間が病気だって。
もうすぐ死ぬと分かってたって。
私は佐久間のことを好きになっていた。
もっと。もっともっともっと。
大事にしたのに。大事にしたかったのに。
昼の時間が長いってことは太陽だって早く登るんでしょ？登らなくていいよ。
このまま太陽なんて一生登らなくていい。
そしたら佐久間はずっと生き続けられる。
「‥‥‥‥っ、‥‥‥うぅ‥‥っ‥‥！！」
私は太陽から逃げ続けるように当てもなく自転車を汗だくで漕ぎ続けた。
漕いで、漕いで、漕いで‥‥‥‥。
足も限界で上がらなくなってきた頃、光が差すのが見えた。
‥‥‥‥‥太陽が、上がってしまった。
結局、太陽が上がらないことなんてなくて。
どんな一日にも終わりがあるように始まりがあるし、この旅にだって終わりは必ずあるんだ。
私と佐久間の過ごす時間にタイムリミットが近づいているように。
だったら、どのみち終わりが来るのなら。後悔が少ない道を
私が行くべき道が、少し分かったような気がした。
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年10月27日 18時
