64話 ページ20
「‥‥‥え？」
ふと佐久間の声が強く聞こえて顔を上げた。
ら、佐久間が頬をめいっぱい膨らましてこちらを見ている。
「さて問題です。俺はさっき何を話してたでしょーか」
「‥‥‥オーナーのご飯美味しいな？」
「‥‥‥と？」
「‥‥‥毎日オーナーしつこいよね」
「なんっで分かるの！？」
「佐久間が言いそうなことなんて大体分かる」
「話聞いてなかったよねAちゃん。何か悩み事？」
「それは、」
佐久間が？顔で大きく目を開いてこちらを見ている。
悩みの張本人に言えるか‥‥！
「‥‥‥あー、意外だなと思って！」
「ん？なにが？」
「オーナーにあんだけ誘われたらさ、佐久間ならホイホイOKするんじゃないかと思ってたから。あんなに頑なに断るの意外だなと思って」
「あー、ね」
「なんか、東京でやりたいこととかあるの？」
「いーや？そろそろ地元帰りたくなっただけー。もうやりたいこともやったしね！」
そう言って佐久間はご飯をガツガツと食べ始めた。
そうか、佐久間はここに来てやりたいことを叶えられたのか‥‥‥ん？
「じゃあ、さ。この旅って‥‥‥どうなるの？」
頭に思いついた疑問をそのまま吐き出す。
すると佐久間の動きが一瞬止まった。
「もう終わり、だね」
「‥‥‥‥‥へ」
「うん、旅はもー終わり！！Aちゃんは元の生活に戻っていいよ」
「どうしよう、どうしたらいいんだろう」
「またこの集まり？」
場所は純喫茶。メンバーも同じく。
佐久間に突然旅の終わりを告げられた私は動揺してしまい、とにかく今の状況を相談しようと照くんとラウールくんに声をかけた。
「前遊園地で決心したんじゃないの？」
「そうだけど、もうあれから時間も経ってあの時の勇気なんかなくなっちゃったよ‥‥」
「Aちゃんの意気地なし！！」
「そうだよ！私は意気地なしだよ！10代の頃の勢いなんてどんどん無くなっていくんですぅ」
「ドヤ顔で言わないでよ‥‥‥照くんもなんか言ってやって」
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年10月27日 18時
