59話 ページ15
「だってラウールが戻れって言ったのに戻らないんだもん！急いで帰るしかないでしょ！？」
「僕大変そうだなって心配で2人のところに行っただけなのになんでそんな言われなきゃなんないの！！」
「お前は2人の見張り番だろーが！！」
「見張り番だと大分意味変わるけど大丈夫？」
小さいのと大きいのがキャンキャン言い争っている。
そんな2人を無視して由依ちゃんがご飯を広げてくれた。
それからは5人で平和に‥‥平和に？
席順で揉めたり、佐久間とラウールくんが最後のナゲットを奪い合ったり色々あったけど平和にご飯を食べて。
アトラクションも絶叫系を責めたい人間と待っていたい人間、そしてなぜか待ちたがる佐久間との三つ巴で言い争いながら、なんだかんだみんなが平和に乗れるアトラクションを選んで行った。
あっという間に日も沈んでしまい、私はふと気づく。
‥‥‥あれ？今日普通に楽しんでない？私。
佐久間と由依ちゃんが2人きり‥‥‥。
うん、全然ないな！？！？
最初のジェットコースターもラウールくんが一緒にいたし、お昼の買い出しもラウールくんが追いかけてったし‥‥‥ラウールくん邪魔だなあ(本当にごめん)
どうしよう、どうしよう‥‥。
このままじゃ2人が何も進展しないまま終わっちゃう‥‥‥！
そう焦っている私に由依ちゃんが声を上げた。
「最後にさ、あれ乗らない？」
由依ちゃんが指を差した先にはキラキラと輝く観覧車があった。
‥‥‥大チャンス！！！
観覧車で佐久間と由依ちゃんを2人きりにさせれば絶対良い雰囲気になる‥‥！
2人をペアにするために事前に誘導する方法を頭をフル回転させて考える。
「大ちゃん」
「ん？」
「観覧車。2人で乗りたい」
由依ちゃんが控えめに佐久間の服の裾を掴んで、顔を赤らめながら言った。
なんだ。私が考えるまでも無かった。やったね佐久間。
「‥‥じゃあ私たちは3人で乗ろっか！」
「え、Aちゃ」
「ほら！早くしないと閉園時間になっちゃう。急げ急げー」
そう言って私は照くんとラウールくんの背中を押して観覧車へと進んだ。
ギリギリ間に合って私たちが先に観覧車に乗る。
ラウールくんと照くんが向かいって座ったので私は何も考えずラウールくんの隣に座る。
「‥‥‥Aちゃん」
「‥‥どうした？佐久間」
中に乗り込んだ私に佐久間が後ろから声をかけた。
ずっと何か言いたげにもごもごと口を動かしているが何一つ言葉になっていない。
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年10月27日 18時
