58話 ページ14
「いつ、から？いつから、気づいてたの‥？」
「えぇ？‥‥‥前からそうなのかなって思ってたけど、確信持てたのはさっき。佐久間はどんなやつ？って聞いた時のAちゃんの顔がさ、なんか。そういう人を想ってるときの顔だったから」
「‥‥‥そうか。私、分かりやすいかな」
「いや、俺以外は気づいてないと思うよ。てか、Aちゃんもそんな感じしてなかったでしょ？」
「うん。気づいたのは‥‥最近。まぁ、他の人にバレてないなら良かったのかな」
「‥‥‥なんで、佐久間のこと応援しようとしてるの？きついでしょ」
照くんがそう心配そうに聞いてくる。照くんになら、いいかな。
そう思って私は正直に自分の心のうちを話すことにした。
「佐久間はさ、私のことを大事な友達だと思って、この旅に誘ってくれたの」
「うん。そう言ってたね」
「だから、私は佐久間にとって最後まで友達でニコイチであり続けたいんだ。‥‥‥まぁ、気持ちバレて関係崩れるのが怖いってのもあるんだけど、ね」
これが私の本心だった。
振られることが怖い、とかそういうのよりも今の関係性が崩れて佐久間から大事な友達を奪ってしまうことが怖かった。
「佐久間の友達のまま。佐久間の幸せを一番近いポジションで見ていたい」
「‥‥‥Aちゃんは分かってないんだね。佐久間にとって一番の幸せが何なのか」
「‥‥‥え？」
「今のままじゃAちゃんは、佐久間の一番幸せな姿を見ることは出来ないよ」
照くんが静かにそう言った言葉の意味を私はきちんと咀嚼できなくて。
「佐久間の1番の幸せ‥‥照くんは分かるの？」
何か答えようとした照くんが私の後ろの方を遠い目で見た。
「おーーーーーーーーーーーいお待たせ！！！！」
ズザザーッと佐久間が走り込んできた。
持ってる食べ物とか飲み物は無事なんだろうか。思わずそんな心配をしてしまうくらい。
さらにその後ろのほうでは
「大ちゃん‥‥！そんな走ってご飯無事！？」
「ねぇお釣りも忘れてってるし〜」
と由依ちゃんとラウールくんが呆れたように走って戻ってきてくれた。
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作者名：Haniko | 作成日時：2022年10月27日 18時
