徒桜 ページ17
.
女子にも、男子からもたくさんの支持を集めてて、いつも皆の輪っかの中心にいて。
人気者の先輩のまわりにはその日も近づけないほどに人だかりができてた
フラれたのは半年も前のことなのに、未練タラタラな私は遠くから見てることしかできなくて…
にも関わらずどうしても諦めがつかなくて
最後だからと「ご卒業おめでとうございます」とラインでしか送れなかった意気地なしの私に
先輩は綺麗な桜を見せてくれた
一件の画像が送信されました、と通知がきた後に
“ありがとー”
“今ここ、もう帰っちゃったの？”
.
そこは私達が通っていた道で。
駅に繋がるこの道で先輩の姿を何回も見た
やり取りしていた当時はただの帰り道に撮ってくれた桜の木だと思っていたけど…
もし、あの時 先輩がここで
今いる場所を教えてくれていたとして
帰ってないですって返信してたら…
二人は会えてたのかな？
卒業式の日、最後に話すことくらいできたのかな？
先輩はそう思って桜を撮ってたのかな
.
、、なんていい様に考えてるだけ
あるはずないよ。だって先輩には彼女が居たし、式の後も友達と遊びに行きそうな人だし…
ラインのトーク履歴を見返しては約束の時間を待つ。
友達と別れて少し早く着いてしまった駅のホームで、そわそわしてる自分を落ち着かせようと一旦立ち上がると
視界の隅っこに入った、あの桜の木
季節が巡って枯れてしまった桜の木
あの木にも、いつか蕾ができて
あの春の日のように、
一面をピンクに染めるくらい立派な桜が花を咲かす
その景色は、
.
.
.
……先輩と見たい、 なんて
.
ピロンッ
先輩
_____着いた。チャリ置きんとこの道沿いに停めてる
_____わかる？黒の
.
あぁ…本当に、会うんだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彗星 | 作成日時：2020年5月22日 23時
