重い何か ページ4
貴方side
『転弧、ご飯できたよ』
転弧の部屋の前まで行き、そこから声を掛ける。
転弧「…もう帰った？お客さん」
『うん。だから出ておいで』
ガチャと音を立てて、扉が開いた。
転弧「ご飯なに？」
『サンドイッチ。転弧、好きでしょ？』
転弧「うん。たまごサンドある？」
『あるよ』
、
リビングに移動すると、
机を挟んで向かい合うように座った。
転弧「…いただきます」
『どうぞ』
転弧「……ん、うまい」
パクパクと口に詰め込む転弧を見て、
無意識に口角が上がる。
転弧「…はいお母さん、あーん」
『？ お母さんはいいよ』
転弧「いいから、あーん」
『もう…』
落ちてくる髪を耳にかけ、口に含んだ。
……うん、美味しい。
転弧「美味しい？」
『美味しいよ。でもちょっと甘いね』
転弧「そう？俺は好きだけど」
そして、また食べるのを再開し出した。
、
『……洗い物終わったし、買い物行こっか』
食器を棚に直して、
テレビを見ている転弧に言う。
転弧「……お母さん、なんでコイツが平和の象徴なの？」
テレビの画面には、
デカデカと取り上げられているオールマイトの姿が。
転弧「…俺、憎いよ。コイツは俺を助けてくれなかった。
コイツは平和の象徴なんかじゃない。
ただの社会のゴミだ」
小さな背を向けて話す転弧には、
やはり子供が背負うには重すぎる何かがある。
、
『……転弧、もう過去のことは忘れていい』
転弧「っ…でも」
『お母さん、転弧が苦しんでるのは嫌だよ』
私の一言を聞いて、転弧は口を閉じた。
『お母さんは、笑ってる転弧が好きだから』
転弧「……うん。ごめんね、お母さん」
私の方を振り向くと、今度は明るい笑顔を見せてくれた。
、
転弧「買い物、行こ」
『うん。行こっか』
しっかり手を繋ぎ、玄関に向かう。
『いってきます』
転弧「いってきまーす」
扉の向こうには、まだ眩しい日が昇っていた。
、
続く
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おきた ねる - めっちゃ面白いです！これからも最新頑張ってください(*^^*) (2018年10月22日 10時) (
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作者名：ちらちゃん | 作成日時：2018年9月21日 23時
