誘い ページ7
その間1度も口を開くこと無く、静かに聞いていたAを鬼舞辻は伺うように見る。
すうっと息を吸って口を開く。
『いろいろ言いたいことはありますが…、まず、なぜ言って下さらなかったのですか。私では頼りになりませんか?』
「いや、そういうわけでは…」
『では一体どういうわけでしょう』
嫌われるのではないかと思ったなど言えるか。というか、今まだ嫌われていないかもわからないぞ。なんとか言え。
Aがくすりと笑う。
『ふふっ、少し意地悪なことを言いましたね。言いづらいのはわかります』
私がその立場なら徹底的に隠したでしょうし。
『無惨様、青い彼岸花を私も探してみます。また、食事に人間が必要ということは仕方がありません。ですが、人の命というのは尊いもの。感謝を忘れてはなりませんよ』
なぜAは恐れないのだ。人喰い鬼など絶対に明かすことなくAの生涯尽きるまで一緒にいたかったのに。これではあんなにも悩んでいたことが馬鹿馬鹿しい。
「怖くないのか?」
『怖くないとは言っていません。ただ、鬼になってしばらくしても私を喰らうことはなかったでしょう?身近にいる私こそ食べやすいでしょうに。ずいぶん愛して下さっているのですね』
「なっ…!」
口を開けたまま固まってしまった鬼舞辻を楽しそうに見るA。
無惨様は愛情を隠していてもわかってしまうところが可愛いらしいですね。なんて言おうものならそろそろ喰べられてしまうかしら?ふふっ。ありえないわ。
「一応言っておくが、鬼になるか?」
鬼になって、私と一緒に過ごしてくれるか?とは言う勇気もなく。
しばらく固まっていた鬼舞辻だったが今は真面目な顔で聞く。
『せっかくのお誘いですが、昼間動けた方が情報も集まりますので今はお断りします。どうしようもない時は私も鬼になりますよ』
にっこりと笑うAに聡明だなと鬼舞辻は感心したのだった。
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Pistachio(プロフ) - メメさん» 主人公ちゃんかなりしっかり者でかっこいいですよね!無惨様がけっこう子どもだなぁと思ったのでかっこいい方がいいかなと思ってこの性格にしてみました!お読みいただきありがとうございました! (4月27日 0時) (レス) id: 7faa805a0d (このIDを非表示/違反報告)
メメ - 面白かったです。主人公がとてもカッコよくて、「うわ〜」って思っちゃいます。 (4月26日 13時) (レス) @page12 id: 7b4a5b0ad7 (このIDを非表示/違反報告)
Pistachio(プロフ) - YUIさん» 鬼達の過去がいいんですよね〜!一緒の人がいて嬉しいです! (7月30日 1時) (レス) id: 2e787d1fce (このIDを非表示/違反報告)
YUI - 私も鬼推しなので気持ちがものすごく分かります!!! (7月16日 8時) (レス) @page12 id: 1121998891 (このIDを非表示/違反報告)
Pistachio(プロフ) - マリイ(七海建人の嫁)さん» 無惨様いいですよね!私も好きです! (2022年10月28日 11時) (レス) id: 21768fa7fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Pistachio | 作成日時:2019年12月27日 15時