奇術師の妹だったら！？番外編【HUNTER×HUNTER】

価値観の違い8 ページ21

「なら、監 禁はしないのか？手元において愛でられるそ」


クス、クス、クス。


『そうだよねぇ♡ボクもいっそ、監 禁しちゃいたいよ〜♡でも、その人を形成するものって何だかわかる？』

胸に当てられていた手が、するっと身体をなぞって頰に触れる。

熱を帯びた瞳が輝いている。


「記憶、経験、感情とかな」

『正解♡ボクが作用して感情を動かすのは限界があるし、監 禁なんかしたらその人の日常の中で見せる一瞬を見れないだろう？

だから、監 禁はしない♡』

「わからないな」



Aの価値観も、考えも、何もかも。



「Aは、それで満たされるのか？」



わからないから知ろうとする。これもオレは満たそうとしているのか？



途端に困ったような表情をする。

『ん〜、どうなんだろう。本当は監 禁してボクだけのものになればいいのにって思ってるけど、相手は絶対望まないと思うし。

このジレンマも楽しいんだけどね〜。

満たそうとしていないのかなぁ。もう満たされてる？それはないか。ボクは器すら壊れてるのかもしれないねぇ』

少し憂いた表情で呟くAだったが何を言っているのかさっぱりだ。

ただわかっているのはAも何もわかっていないこと。

それに少し安堵した。



『団長がボクをスカウトしたじゃない』

「ああ」

『なんで？』



なんで？あの時はただ“欲しい”と思ったから…。



バッと口元を抑える。


ケタケタと笑う気配がした。

『ボクで…』



それ以上言うな。自分でも気づいてしまったんだ。



『満たそうとしたんだろ？』

Aの視線に耐えられなくなったクロロはそっと視線をずらす。


『やっぱりボク、アナタを手元に置いて愛でたいなぁ♡』


クロロの目の前を何かが横切った。

Aは身を屈めてそれを避ける。


フェイタンの仕込みだった。

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