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学校のパソコンで、記憶を頼りに調べたその遊園地は
もう何年も何年も前からあるとても古い遊園地だった。
バスだけで行ける距離にあるその遊園地のページを発見した時、私とVは目を合わせて笑った。
｢本当にここでいいの？｣
｢勿論。Aは嫌？｣
｢んーん 一緒に行けるならどこでも｣
放課後の誰もいない教室で、何度もそのくたびれたホームページを眺めては笑い合った。
これに乗ろう、それからこれにも乗ろう、それで最後には絶対に観覧車をに乗ろう。
あまりにも古いから止まってしまったらどうしよう？
その時は、観覧車に住もう。
冗談を言い合いながら、目の奥がじんと熱くなった。
最後のための準備をし始めたような気がした。
同級生たちは一喜一憂の毎日を過ごしている。
進学や就職、それぞれの道を目指して歩き出した彼等をどこか誇らしく思った。
私にそんな権利はないし、立場もないはずなのに何故かそんな気分だった。
卒業式が近づく。
時折暖かい風が通り過ぎていく。最早Vはその風すらふわりと通すほど霞んでいた。
写真にも、鏡にも、何にも映すことの出来なかった鮮明な美しい姿を思い出す。
あの赤い唇が好きだった。鋭い双眸が好きだった。
白くて長い指が好きだった。大きめの耳が好きだった。
低く響く低音と、温かい体温と、独特の甘い匂いだけは今もしっかりと私のものだった。
｢卒業式の次の日に遊園地に行こう｣
私はとうとう、その日を決めた。
｢楽しみだね、A｣
私と彼の、最後の日を、決めた。
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K(プロフ) - 🇰🇷💜さん» コメントありがとうございます。お返事が遅くなってしまって申し訳ございません。本当に嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2022年1月28日 11時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
🇰🇷💜 - めっっっっっっちゃいい話しです！最後泣いてしまいました｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2021年12月28日 18時) (レス) @page30 id: 1c3d5c9a9d (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - とりむねにくさん» 2度目のコメント、本当にありがとうございます。読み返すと結末を知っている分、別の見え方がすればいいなと思って書いたので 読み返していただけて本当に嬉しいです。温かいお言葉を本当にありがとうございます、とてもとても嬉しいです。 (2021年10月12日 21時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
とりむねにく(プロフ) - 2度目のコメントです。もう何度もこのお話を繰り返し読んでいます。読むたびに胸が苦しくて、でも未来あるヒロインのこれからに少しの暖かさを感じて何度も泣いてしまいます。うまく言葉に言い表せないのですが、私にとって凄く大切なお話です。ありがとうございます (2021年10月12日 20時) (レス) @page16 id: 69a1b6ff8d (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - とりむねにくさん» コメントのありがとうございます！凄く嬉しいです、本当にありがとうございます。これからもじわじわと色んなお話を書きたいなと思っていますのでよろしければご覧頂けると幸いです！ (2021年10月9日 7時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年9月27日 14時
