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その日を境に、母は私を徹底的に居ないものとして扱うようになった。
暴言や暴力は確かに無くなった。
けれどそれは裏を返せば実の母親に存在そのものを否定されたという事だ。
だから私は母が帰宅する前に自室に逃げたいのだ。
彼女の、必死に私を見ないようにするあの目を、見たくないのだ。
それをこの悪魔は
前よりかは良かっただろ、とのたまう。
前よりも悪くなった、前よりも辛い、と言えたならどれほどいいだろう。
しかし、じわじわと不幸に近づいていくのは仕方の無いことだ。
これが私の罪なのだ。
｢A、おいで｣
悪魔が私を呼ぶ。
制服を脱ぎ捨てた私の傷だらけの体を
有りもしないはずの体温が優しく包む。
｢もうすぐ きっともうすぐだよ｣
Vの低い声が頭の中で鈍く響いた。
何がもうすぐなのかはわからないけれどそれでも良かった。
私は、私を不幸にするこの悪魔に長年恋をしている。
初めてVを認識した時
幼い私の胸は大きく鳴った。
2つの深淵のような三白眼に少しかかるほどの黒い艶やかな髪の毛
真っ赤な唇はしなやかに弓を描いていて
スラリと伸びた指は骨ばっていて血管が薄く浮き上がるほどに白い。
こんなに美しいものを見たことがなかった。
｢やっと逢えた
どれだけ待たせるの？｣
頬杖をつきつつ、目を細めて嬉しそうに笑ったそれに
幼い私は恋をした。
恋をしてしまった。
それ以来、Vだけが私の全てだった。
悪魔を愛した私に罪がないはずがない。
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K(プロフ) - 🇰🇷💜さん» コメントありがとうございます。お返事が遅くなってしまって申し訳ございません。本当に嬉しいお言葉ありがとうございます！ (2022年1月28日 11時) (
レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
🇰🇷💜 - めっっっっっっちゃいい話しです！最後泣いてしまいました｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2021年12月28日 18時) (レス) @page30 id: 1c3d5c9a9d (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - とりむねにくさん» 2度目のコメント、本当にありがとうございます。読み返すと結末を知っている分、別の見え方がすればいいなと思って書いたので 読み返していただけて本当に嬉しいです。温かいお言葉を本当にありがとうございます、とてもとても嬉しいです。 (2021年10月12日 21時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
とりむねにく(プロフ) - 2度目のコメントです。もう何度もこのお話を繰り返し読んでいます。読むたびに胸が苦しくて、でも未来あるヒロインのこれからに少しの暖かさを感じて何度も泣いてしまいます。うまく言葉に言い表せないのですが、私にとって凄く大切なお話です。ありがとうございます (2021年10月12日 20時) (レス) @page16 id: 69a1b6ff8d (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - とりむねにくさん» コメントのありがとうございます！凄く嬉しいです、本当にありがとうございます。これからもじわじわと色んなお話を書きたいなと思っていますのでよろしければご覧頂けると幸いです！ (2021年10月9日 7時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：K | 作成日時：2021年9月27日 14時
