いちばん近くて、いちばん遠い。I【虎】 (ページ29)

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世間に公表するコンサートに向けて、
みんなで毎日毎日、念入りにリハをする。

私は全部の公演に参加することはなく、
千秋楽以外の公演は裏で見学というか…
流れを覚えて、千秋楽で発表、
そしてそのままコンサートに参加するという予定だ。

だからみんなほどすることはないんだけど、
最初にする自己紹介とか、MCで使う話とか、
そういった部分を念入りにチェックしていた。

マネ「すみませんAさん、」

A「はい、何ですか？」

マネ「今回のコンサート、終了後にAさんのグッズを出そうと思ってるんです。すぐにTravis Japanのファンがつくとは考えられないけど、××時代のファンの方に需要があるかと思いまして」

えっ、千秋楽のあと？売れるかそれ、大丈夫？

A「はい」

マネ「だからグッズ作りのために、メンバーカラーを決めて欲しいんですよ」

A「…あぁ！」

そういえばジャニーズの世界にはメンバーカラーとかがあるんだっけ。

七五三掛「なに、Aメンバーカラー決めんの～？ピンクはだめだよ、俺のだから」

遠くの椅子に座ってリラックスしていたしめちゃんが近づいてきて、いつものようにふわふわ～とした口調で話す。

A「被り禁止なことぐらいわかってるよ、ピンクは取らない取らない」

七五三掛「よかった～！」

…本気で取られると思ってたの？(笑)

安心したのか、鼻歌を歌いながら
しめちゃんはレッスンに戻っていく

それはともかく、どうしよう。

既に7人分、色は取られている。

いや、グループカラーも含めたらもう8色取られてる

余ってる色…茶色？

私らしさはないな

考えて考えて、私はこの色を自分のメンバーカラーにすることにした。

A「黒で、お願いします。」

マネ「…黒？それでいいの？ペンライトとか、色ないかもしれないけど、」

A「大丈夫です。私、黒好きなので」

それだけじゃない。

紅一点だけど、正直私はあんまり目立ちたくない。

だから影の色、黒がいいなって思ったんだ。

それに、ペンライトの色がない方が、

ファンの数とか気にせずにすむ

マネ「…そっか。わかりました。でも気に入らなくなったら後々変えてもいいからね」

A「ありがとうございます」

こうして私は、Travis Japanの黒色担当になった。

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