初めまして、結婚してください！ ⑦ (ページ5)

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§ ははとぼく § ページ5

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『おとうさん、おしごとおそいね』

『そうね。でもお父さんだってテテに会いたいなぁって思いながらお仕事頑張ってるんだもの、ちょっと寂しいけど、我慢、ね？』
『でもおかあさんは、ぼくがねんねしてからおとうさんとあそんでるんだよねー？いいなぁ』

『遊んでないんだけどなぁ……。テテはお母さんが羨ましいの？』

『だってー！ねんねしたらあそんでもらえないもん』

『ふふ、そうね……。でも、お母さんはテテが羨ましい』

『どうして？』

『お母さんが病気ばかりしてるから、お外でお父さんとテテと遊べないもの』

『うーん。ぼくもびょうきするよ？おねつでて、くるしかったよ？』

『うん、でもね？テテとお母さんの病気はちょっと違うの』

『ちがうの？』

『お母さんの病気は……子供の頃からずっとだから。昔からのお友達みたいなものだったから』

『おともだち？』

『……お父さんはね？病気ってお友達しか居なかったお母さんの大切な人なの』

『……うん？』

『お母さんを大好きになって、病気がちのお母さんをお嫁さんに迎えてくれて、テテを授かって。
　お父さんがいなかったら、お母さんは一人ぼっちで寂しく死んでいたかも知れない。そのくらいお母さんはお父さんが好きで好きで、たまらなく好きで……。私にはお父さんがいないとダメなの』

『そしてね？それはお父さんも同じなの。
　お父さんもお母さんが好きで好きで、もし今居なくなったら、お父さん、寂しすぎて死んじゃうかも……お父さんは……私が居ないとダメだから。お腹もいっぱいにならないし。だからまだ居なくなるわけにはいかないの』

『ぼくもおかあさんがいないとダメだよ！おかあさん、だいすきだよ！だからいなくならないで』

『……ふふっ！うん、だから頑張って長生きして、テテが可愛いお嫁さんを紹介してくれるのをお父さんと楽しみにしていなきゃね？』

それはお父さんに話したことのない、俺とお母さんの二人だけの内緒話。

お母さんと二人で遊んでた時に話してくれた、お母さんの惚気話だった。