初めまして、結婚してください！ ⑦ (ページ37)

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† 二人が知らない真実ページ37

SJ side

あの時、僕が知る事実をテヒョンに向けて淡々と話せば、蒼白の表情で俯いたまま聞き入り、隣で自分の愚行を我が子に知られることとなったユンギもまた、当時を思い出して苦悶の表情を浮かべていた。

「深淵から引き上げてもお前の心は恐怖と悲しみで深く傷ついてボロボロだった。涙ながらに自分が見たものを語ろうとするお前を見ていて、僕も辛くて堪らなかった」

だから僕は、せめて少しでも傷んだ心を休めさせてやろうと、その恐怖を“暗示”を使って記憶から消そうと考えた。でも記憶を操作するにはテヒョンはあまりにも幼過ぎて、心に受けた傷があまりにも深すぎた。
精神的に未熟な幼いテヒョンに“暗示”を用いての記憶を消してしまうと、“暗示”が深く掛かりすぎて彼の心が消えてしまう可能性もあった。それはテヒョンの心を殺してしまうのと同じだ。

この子を生かす事も大切だけど、もし心を失ってしまったら、楽しくて笑うことも、美しいものに心動かされることも、憤って怒ることも、悲しみに涙することもできなくなる。

暗示で心を失ってしまえば無気力から生への執着がなくなり、確実に死に近づくスピードが加速する。
万が一命を落とすような事になれば、ユンギの悲しみと心の穴を更に深くしてしまう。

「そしてそれは同時に、ジミニの大切な友が永遠に失われる事を意味している。
　ユンギの大切な証を、我が子の友を失わせないためにも僕は、“暗示”の使い方を少し変え、テヒョンが両親を見つける前後の記憶をまるごと深淵に封印することにした」

「……記憶を封印……」

テヒョンは自分の胸に視線を落とし、手を当てた。