独り立ち前にしなきゃいけない事 ページ48
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「それならヒョン！『特別な何か』って『幸せ』の匂いってこと？！」
ヒョンが常々言っていた『あれ』の正体はそれだと思って聞いてみたのに、何故かジニヒョンはふぅっと溜め息。
「うーん……。それとはまた違うよ？“味見”しなくても何となく分かったくらいだから、お前はもう分かってると思ったけど――」
「えぇ〜……？」
何だよ違うのかよ……。肩を落としてしまった。
でも待てよ？匂いでそこまで分かったんなら。
「ジニヒョン、匂いでAの事がある程度わかるんだったらもう“味見”の必要なくない？」
「そういうわけにはいかないよ。香りはあくまで目安でしかないし、詳細を知る為にもやっぱり“味見”はしなきゃ」
「ぶぅ〜〜〜！」
「残念だったね！僕に隠し事はできないってこれではっきりしたろ？」
ひゃひゃひゃっと特徴ある笑い声はすぐに消える。
組んだ足を下ろし、背筋を伸ばしたヒョン。俺を見る目はえらく神妙だ。
「でもテヒョンア、今回の“味見”は特別だよ」
「特別？」
「……卒業試験の一環だからね」
「えぇっ？！卒業試験？それってまさか！独り立ち出来るってこと？！」
「そうだね」
そうだ、先輩ヴァンパイアの教育期間の目安は『最初の“あの時期”をクリアする事』だ。このままAと無事“あの時期”を迎えることができたら、俺も一人前って事になる。
でも手放しには喜べないのは何でだろう。
「卒業試験にどうしてAの‘味見”が必要なの？」
「だってAの残りの時間をお前が貰い受けるんだから、あの子にもそれなりの覚悟と決意がなくちゃ。お前一人で結婚進められる？」
「それは、……AからＯＫ貰わなくちゃダメだけど」
「だろ？その覚悟をあの子がちゃんと持っているかも重要だよ。お前があの子にどうやって覚悟を決めさせるか、いかにしてあの子との間に『絆』を作るか」
嬉しい反面、その条件にAが関わってしまった事にしっくりきていないからか。
俺から一度目を逸らし、もう一度目を合わせた時、ヒョンの目は何故か紅くなっていた。
「だとしたら、そろそろ起こしてもいい頃だね？テヒョンア」
「んん？いやいや寝てないけど？」
「……そうじゃないけど、ふふっ、そうだね」
変なこと言うヒョンだなぁ。酔ったのかな？
そう思って大して気に留めなかったその言葉の意味。
その意味を知ると同時に、大切な事を知ることになる。
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あがしおん(プロフ) - Laurentさん» いつもコメントありがとうございます！コツコツと続きを鋭意制作中です。励みになります！頑張ります！ありがとうございます！ (2020年5月16日 11時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
Laurent(プロフ) - こんばんは！いつも楽しませて頂いております。ピュアさもありつつ作り込まれたあがしおんさんのお話が本当に大好きです……！あがしおんさんのペースでゆっくり更新頑張ってくださいね！応援しております (2020年5月16日 1時) (レス) id: 1f1ed7af51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2020年3月23日 19時
