？？ ページ39
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─ それ、どういう ─
『だって、おかあさんが やっとかえってきたもん』
─ 帰って……きた? ─
『やさしくて、あったかいの くれるのって、おかあさんだけだもん』
『ぼく、おかあさんと おやくそくしたもん』
─ 約束…… ─
心臓が騒ぐ。
『おぼえてるでしょ?……おにいちゃんも』
当たり前だ、忘れるはずがない。今でも一文字も違えず覚えてる。
お母さんが天に還る数日前に、病床で交わしたおまじないのような約束――。
【お父さんの言う事を聞いて、病気に負けないでおりこうさんにしてたら、また逢えるよ】
【お母さんの匂いがする、お母さんの大好きな花が咲いたら、また逢えるよ】
俺とお父さんが《お母さんのいない世界》を生きていく為の魔法の言葉と一緒に。
『おやくそく まもったから、おかあさんが かえってきたんだ。
だからぼく、もうさみしくないもん』
─ 違う ! あの子は……、Aはお母さんじゃない ! ─
『また おとうさんと おかあさんと、ずーっといっしょだね……』
─ おい坊主 ! 俺の話聞けよ ! ─
『おかあさんみつけてくれて、ありがとね、おにいちゃん』
『テテ』が眠りに就くと同時に、明かりを落としたように真っ暗な闇の海と静寂が広がった。
途端に急速に吸い出される感覚に襲われる。
みるみる『テテ』の姿が小さくなっていく。
─ ……違う…… ─
Aは確かにくれた、俺が欲しかった『もの』を。
─ 違う違う違うッ ! ─
『俺』と『テテ』が欲しがっていたモノを。
でもそれは――。
─ 俺は……、俺はそんな理由でAを好きになったんじゃない ! ─
遠ざかる闇の海に俺の叫び声だけがこだました。
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あがしおん(プロフ) - Laurentさん» いつもコメントありがとうございます！コツコツと続きを鋭意制作中です。励みになります！頑張ります！ありがとうございます！ (2020年5月16日 11時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
Laurent(プロフ) - こんばんは！いつも楽しませて頂いております。ピュアさもありつつ作り込まれたあがしおんさんのお話が本当に大好きです……！あがしおんさんのペースでゆっくり更新頑張ってくださいね！応援しております (2020年5月16日 1時) (レス) id: 1f1ed7af51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2020年3月23日 19時
