？？ ページ38
.
沈む。
自分の内なる闇に沈む。
闇の中心に呼び寄せられるように。
『おにいちゃん、またきたね』
─ お前が呼んだんだろ?坊主 ─
『にひひ!そうだね!』
そこには枕を抱いて真っ黒い床に寝そべる小さな男の子。
俺の深淵に住む『テテ』……だっけか。
身の丈ほどもある枕を細く小さな腕でギュッと抱きしめて、真っ黒い床に寝そべる小さな男の子。
『このにおい、おかあさんみたいな いいにおいだよね』
くすくす嬉しそうに笑う。
─ 似てるけど、Aはお母さんじゃないよ ─
『でも、おかあさんしかくれなかったもの、くれたよ ? 』
お母さんしか……、くれなかったもの?
─ 坊主、それが何なのか知ってるの? ─
『うん、しってるよ。おにいちゃんはおにいちゃんなのに、しらないの ? 』
─ そ、それは、 ─
『ひょんは おしえてくれなかったの ? 』
『おとうさんは おしえてくれなかったの ? 』
─ 何で今お父さんが出てくるんだよ ? ─
『おとうさんはね、おかあさんがいなくなって、ずっとさみしかったんだよ。
ぼくとおんなじなんだよ』
─ お父さんが…… ? ─
『おとうさんもね、おかあさんからもらってたからだって。ジニひょんがおしえてくれたんだ』
─ 貰う?お父さんがお母さんから貰ってたものって何だよ ? ─
枕に顔を伏せ、スリスリっと擦り付けた『テテ』。
そのしぐさは涙を拭いてるようにも見えるし、眠くて擦っているようにも見える。
けれど表情は違った。
『でも……もうそんなのいいよね ? 』
─ えっ? ─
枕を抱いたまま漆黒の床に寝そべる『テテ』が眠たげに笑う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 348人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あがしおん(プロフ) - Laurentさん» いつもコメントありがとうございます！コツコツと続きを鋭意制作中です。励みになります！頑張ります！ありがとうございます！ (2020年5月16日 11時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
Laurent(プロフ) - こんばんは！いつも楽しませて頂いております。ピュアさもありつつ作り込まれたあがしおんさんのお話が本当に大好きです……！あがしおんさんのペースでゆっくり更新頑張ってくださいね！応援しております (2020年5月16日 1時) (レス) id: 1f1ed7af51 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あがしおん
| 作成日時：2020年3月23日 19時
