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「どこか行きたいところはある？」
「……海が見たいなぁって」
「かしこまりました、お姫様」
そのお願いを叶えるため、僕の運転で訪れた近くの海。
彼女を抱きかかえて砂浜を歩き、転がっていた流木に腰を下ろし、潮騒を聞きながら時々キスをして。
思いが通じたあの日にAと見たあの海程ではないけれど、それでも久しぶりに二人で眺めれば自然に心が穏やかになる。
何故海なのかと尋ねたら、僕の正体を知ったあの頃の気分に戻りたかったから。らしい。
同じ時期を思い浮かべていて、僕の心をまた見られたのかと思ったくらい驚いた。
「寒くない？」
「うん、大丈夫……」
海を見ながら柔らかく笑うAの肩を抱くと、ゆっくり弱ってきた肉体越しに感じる魂の揺らめき。
このまま身体を離れてしまうのではと僕が強い不安に襲われ、Aをしっかり抱きしめた。
「ねぇジナ？“食事”は？ちゃんとしてる？」
「ん？ユンギのお世話になってるから、大丈夫だって」
「ふふ……そっかぁ……。私より美味しい人、現れた？」
僕の腕の中で少し悲しげにそう言ったA。
僕の“食事”の事なんて話題にあげることなんてしなかったのに、今日に限ってどうしてそんなことを聞くのか。
「……Aより美味しい人はそうそう出会えないよ？そんな話は今いいじゃな」
「――ねえ、お願いがあるの」
その言葉に緊張した。
ゴクリと唾を飲み、ゆっくり息を吐いて
「……お願い？どんな？」
動揺を悟られないよう平静を装って聞き返したけれど、心音がバクバクと耳障りだ。
「いくつかあるんだけど……まず一つ目」
「はい、何でしょう？」
「寂しん坊のジミニに会ってあげて？そしてちゃんと『お父さん』してあげて」
……なんだ、そんなことか。それはこれから頑張ろうと思ってたし。
深刻な言い方するから身構えちゃったよ。
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あがしおん(プロフ) - chanさん» 嬉しいコメありがとうございます。とても励みになります！なかなか新しいお話を出せず申し訳ないです。ボチボチゆるっと頑張ります！ (2022年4月28日 7時) (
レス) id: 858700461f (このIDを非表示/違反報告)
chan(プロフ) - 何回も読み直しさせて頂いてます！涙がとまりません！！素敵な作品を見せて頂いてありがとうございます！！ (2022年4月28日 2時) (レス) @page50 id: 2c037efb89 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - そす。さん» コメントありがとうございます！ジミンちゃんのお話から数えたら1年近くこのシリーズが続いてるってことだったのか？！え、長すぎ？私もびっくりです！そんなに長くお付き合いいただいて感謝しきりです！残るはあのお方……。ボチボチゆるっと……！ (2019年12月27日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - てじそく.さん» コメントありがとうございます！わざわざ前作にまで戻って読んでいただいてたなんて！何といいますか……めちゃくちゃ嬉しいです！どうぞまた読みにいらしてください♪ (2019年12月27日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
ろーらん?(プロフ) - あがしおんさん» 頑張りましょう！大好きです〜〜〜〜！！（涙） (2019年12月27日 1時) (レス) id: c96f5d7f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年12月3日 18時
