逢瀬・事寄せ・最期の我が儘 1 ページ29
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Aが倒れてどれ程経ったか。
彼女は生きるために『治療』という選択をした。
その甲斐あって病状の進行は一時的に緩み、状態も安定し短期間でも職場復帰するまでに回復した。
それでも病魔は陰でゆっくり着実にAの身体を蝕んだ。
医師が告げた五年という一区切りを迎えられるかと思っていたが、二年程前から再び入退院を繰り返すようになり、半年前からいよいよ退院すること自体が難しくなった。
もっと高度な治療をしようか。そういう提案が医師よりなされていたが、あれほど強く生に執着をみせていたAがそれを望まなかった。
その後入院が長期化するということで病院を何度か転院し、今の病院に落ち着いてそろそろ半月が経とうとしていた。
面会時間をとうに過ぎた夜十時。
ベッドサイドの小さな常夜灯が灯る病室の引き戸を静かに開き、中を覗き込む。
夜も随分更けているからノックは無し。小声で中の妻に挨拶した。
「A、来たよ」
滑り込むように病室に入り、ベッドの妻の顔を覗き込んだ。
「すぅ……すぅ……」
「ふふ。今夜は顔色が良さそう」
眠り姫のAの頭を撫でて、掛け布団の上にゆったり伸ばされた手を包んだ。
こんな夜遅くだからAはこんな感じで大抵眠っている。
会話なんてここしばらく交わせていない。それでも、妻の寝顔を見て手を握るだけで僕は幸せだった。
初めは、ジミンに感づかれてしまうんじゃないかと思うほどに昼夜問わず通い詰めた。
あの頃のジミンは変わらず僕の存在を不愉快に思っていて、昼間に鉢合わせると間違いなく乱闘騒ぎになるから夜に行け。と、ユンギからアドバイスを受けた。
だから病院に頭を下げ、特別に夜更けの面会を許可してもらった。
僕がここにいる間は巡回の看護婦さんは来ない。
ついでにそういう約束も取り付けた。
おかげで誰にも邪魔される事なく、二人きりの時間を過ごせる。
深夜の密会だなんて胸の高鳴るシチュエーションなんだけど、場所が病院だしなぁ。なんて思ったけど、毎日君に会えるからよしとした。
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あがしおん(プロフ) - chanさん» 嬉しいコメありがとうございます。とても励みになります！なかなか新しいお話を出せず申し訳ないです。ボチボチゆるっと頑張ります！ (2022年4月28日 7時) (
レス) id: 858700461f (このIDを非表示/違反報告)
chan(プロフ) - 何回も読み直しさせて頂いてます！涙がとまりません！！素敵な作品を見せて頂いてありがとうございます！！ (2022年4月28日 2時) (レス) @page50 id: 2c037efb89 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - そす。さん» コメントありがとうございます！ジミンちゃんのお話から数えたら1年近くこのシリーズが続いてるってことだったのか？！え、長すぎ？私もびっくりです！そんなに長くお付き合いいただいて感謝しきりです！残るはあのお方……。ボチボチゆるっと……！ (2019年12月27日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - てじそく.さん» コメントありがとうございます！わざわざ前作にまで戻って読んでいただいてたなんて！何といいますか……めちゃくちゃ嬉しいです！どうぞまた読みにいらしてください♪ (2019年12月27日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
ろーらん?(プロフ) - あがしおんさん» 頑張りましょう！大好きです〜〜〜〜！！（涙） (2019年12月27日 1時) (レス) id: c96f5d7f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年12月3日 18時
