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「あなた、」
「どうしたの？A」
「ユンギさんの奥さん、何だか顔色が悪いみたい」
ユンギの奥様に近づくと、ふわり漂う花の香りと甘い香り。
でも以前とは少し違う香りの変化に不安が過り、一瞬だけ、紅い瞳で彼女を“視た”。
僕の不安は的中してしまうものなんだと、自分の直感の強さが嫌になる。
やはり明らかに彼女の身体から生気が抜け始めている。そのうえ――
「おかーたん、いたいいたい？」
幼い声にハッとなった。
そこには不安気なテヒョン。母の膝にくっついて青ざめ始めた母の顔を覗き込んでいる。
何も知らないこの子まで不安にさせちゃいけない。
「ん？ううん、僕達が無理させちゃったんだ、ごめんね？テヒョンア」
僕はテヒョンをメイドと見ているから夕飯まで休むように促し、
「さあ、テヒョンイのママが元気になるまで、ヒョンと遊ぼ！」
そう言ってテヒョンを呼ぶとパッと明るい顔で駆け寄ってきた。
軽々抱え上げると大喜びではしゃぎ、羨ましそうに唇を尖らせたジミンが小さな両腕を目いっぱい伸ばす。
「わあああい！たっかいたっかい！」
「あー！ぱぱ！たっか！」
「よぉし！ジミニもおいで！パパの肩に乗っけてあげる！」
「きゃあっ！きゃははは！」
両肩ではしゃぐ子供たちと一緒に庭を一巡りすることにした。
いつまでも外の風に奥様の身を曝すわけにはいかないと、ベンチでみんなに背を向けて小さくなっているユンギを呼んだけれど、知らんぷりされた。
彼だって僕と同じだけの時を生きてきているから、幾度となく別離を経験してきたはず。
それでもこんなに辛そうにしているなんて……。
「……ユンギ〜！寝てないで早く美人の奥様をエスコートしてあげなよ〜！」
ようやく身体を起こして優しく大切そうに奥様を抱え上げ、屋敷に戻るユンギの後ろ姿を見て考えた。
僕にしてあげられる事って、何があるんだろう。
彼女の命の砂時計を止める事はできない。ならば僕にできる事といったら、せめてあいつの心が壊れない様に話を聞いてあげる事くらい、か。
「ぱぱ！いこ！」
「ひょん！いこいこ！」
「はいはい！しっかり掴まってろよ？」
両肩の子供たちにせかされ、僕は庭巡りを再開した。
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あがしおん(プロフ) - chanさん» 嬉しいコメありがとうございます。とても励みになります！なかなか新しいお話を出せず申し訳ないです。ボチボチゆるっと頑張ります！ (2022年4月28日 7時) (
レス) id: 858700461f (このIDを非表示/違反報告)
chan(プロフ) - 何回も読み直しさせて頂いてます！涙がとまりません！！素敵な作品を見せて頂いてありがとうございます！！ (2022年4月28日 2時) (レス) @page50 id: 2c037efb89 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - そす。さん» コメントありがとうございます！ジミンちゃんのお話から数えたら1年近くこのシリーズが続いてるってことだったのか？！え、長すぎ？私もびっくりです！そんなに長くお付き合いいただいて感謝しきりです！残るはあのお方……。ボチボチゆるっと……！ (2019年12月27日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - てじそく.さん» コメントありがとうございます！わざわざ前作にまで戻って読んでいただいてたなんて！何といいますか……めちゃくちゃ嬉しいです！どうぞまた読みにいらしてください♪ (2019年12月27日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
ろーらん?(プロフ) - あがしおんさん» 頑張りましょう！大好きです〜〜〜〜！！（涙） (2019年12月27日 1時) (レス) id: c96f5d7f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年12月3日 18時
