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“眠り”に就いたユンギを復活させるのにどれ程の労力が必要だったか。
文献が少なすぎて戻し方なんて分からないから、完全に手探り状態だった。
メイド二人がかりでも軽々と持ち上がる程に軽くなった彼の体をバスルームに横たえ、まずは汚れた冷たい身体を温めながら洗い上げ、一週間かけて彼のお抱えの“食事”相手に足を運んでもらい、その血を分けてもらった。
それでも意識は戻らず、暖炉に薪をくべ温めたり、叩いて擦って肌を刺激したり。
最終手段で僕の妻を呼び寄せ、事情を話して血を分けてもらったりもした。
流石は上玉、おかげで一発で状態を回復させてみせた。
ユンギには絶対知られたりしないと思っていたはずのAの血の味を知られて、ものすごく憤った事は言うまでもなく。
……当人は覚えてないだろうが、僕はしばらく根に持っていた。
Aに「緊急事態なんだからしょうがないでしょ」って怒られたけど。
驚いたのは、ユンギの奥様のご遺体の状態。夏を越えたというのに腐敗の速度が遅かった。
これも僕等の血を与え続けていた結果なのか。
あんな追加情報なんて知りたくもなかったが、知ってしまったものは仕方ない。
貴重なデータとして僕の記憶に刻まれることになった。
その間にも離れの惨状の痕跡を残らず消すため家具の全てを処分し、奥様のご遺体を焼いた。
部屋を片付けている時に小さな匂い袋を見つけた。
一緒に処分するつもりでいたけれど、すべてを失くしてしまうのは何だか寂しい気がして、それだけはユンギの元に残してあげた。
この匂い袋が彼女の存在の証のような気がして。
離れの状態回復は滞り無く進み、ユンギは目覚めを待つのみ。
しかしそれ以上に問題だったのが彼らの息子、テヒョンだった。
「テヒョン様、お食事を召し上がってください……」
部屋の隅で枕を抱いて、涙で濡らした床に力なく身体を転がしているテヒョン。
立ち入りを禁じられていた離れに忍び込み、両親の変わり果てた姿を目の当たりにして、あまりの辛さに自分の心を守る為の防衛本能が働いたからだろう。
この幼さで誰の言葉も届かないほどに心を深淵の奥深くに閉じ込める術を知ってしまった。
その影響で母の部屋から一歩も動かず、食事もせず徐々に痩せていく彼を見ているしかできなくて辛かった。
せめて声が届けば。でもその手立てが見つからず、いたずらに時間だけが過ぎていった。
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あがしおん(プロフ) - chanさん» 嬉しいコメありがとうございます。とても励みになります！なかなか新しいお話を出せず申し訳ないです。ボチボチゆるっと頑張ります！ (2022年4月28日 7時) (
レス) id: 858700461f (このIDを非表示/違反報告)
chan(プロフ) - 何回も読み直しさせて頂いてます！涙がとまりません！！素敵な作品を見せて頂いてありがとうございます！！ (2022年4月28日 2時) (レス) @page50 id: 2c037efb89 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - そす。さん» コメントありがとうございます！ジミンちゃんのお話から数えたら1年近くこのシリーズが続いてるってことだったのか？！え、長すぎ？私もびっくりです！そんなに長くお付き合いいただいて感謝しきりです！残るはあのお方……。ボチボチゆるっと……！ (2019年12月27日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - てじそく.さん» コメントありがとうございます！わざわざ前作にまで戻って読んでいただいてたなんて！何といいますか……めちゃくちゃ嬉しいです！どうぞまた読みにいらしてください♪ (2019年12月27日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
ろーらん?(プロフ) - あがしおんさん» 頑張りましょう！大好きです〜〜〜〜！！（涙） (2019年12月27日 1時) (レス) id: c96f5d7f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年12月3日 18時
