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最後のレディの記憶を改ざんして“暗示”から解放し、家路に就かせた僕は、ウィスキーグラス片手にソファで小さくなっていた。
いつもの僕はどこに行った？刹那を生きる彼女たちの個を尊重し、優しくすることを礼儀としていた僕はどこに行った？
あんな見下す様な言い方、あんな荒っぽいやり方、あれじゃまるで――。
僕はレディたちへの接し方に酷い後悔の念に駆られていた。
同時に、初めて感じるいつまでも満たされない感じに戸惑っていた。
足りない。満たされない。癒されない。
一人じゃ全然僕が満足できなくて、あれから数人呼んだけど、それでもやっぱり満たされない。
何人吸血しても全然足りない。何度リビドーを解放しようと満たされない。
どうしても彼女を思い出してしまう。物足りなさを禁じ得ない。
僕はおかしくなっている？
僕はAでなきゃ満足しない身体になってしまったのか？
吸血したのも情を交わしたのも、あの夜が初めてだったのに。
あの一夜でここまで一人を強く欲したりするなんて、まるで中毒だ。こんなの。
でもAに狂えるなら、いくらでも狂いたい。
どこまでも溺れたい。
「A……」
僕の心が虚無感に襲われ、黒く染まる。
部屋の空気が引き締まり、冷たい空気が足元に淀む。
何に向いているのか分からない怒りで冷気が生まれ、僕の周りを冷たく凍り付かせ始めた。
ダメだ、呑まれるな。この感情に呑まれちゃいけない。
『獣』の限界が近い事は重々承知している。
だからこそ僕がここで耐えなくちゃいけないのに。
寒さでカタカタと手が震え出し、持っていたグラスを滑り落とした。
コトンとカーペットに衝撃を吸収され、割れることはなかったけれど……。
拾い上げようと伸ばした指先に触れたグラスは、とうに真っ白く凍結していた。
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あがしおん(プロフ) - ははまさん» 遅ればせながらコメントありがとうございます。キュンキュンですか？良かったです！書いてる私はずっと赤面でした（照） (2020年9月8日 0時) (
レス) id: 7e5b19fe00 (このIDを非表示/違反報告)
ははま - きゃあああああああやばい...もうキュンキュンあのシーン...(ピョンテ)私もされたいです(殴 (2020年8月3日 15時) (レス) id: 6857bf1000 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - LiLiさん» LiLiさん、コメントありがとうございます！すごく褒められちゃって、小躍りしております！そう言って頂けて作者照れくさいです。本編をお楽しみ頂けて幸いです。更新はボチボチゆるっとですので、のんびりとお待ち下さいね♪ (2019年10月31日 22時) (レス) id: d4473d8198 (このIDを非表示/違反報告)
LiLi(プロフ) - いつも楽しませて頂いてます☆あがしおんさんのお話は ファンタジーなのに人間的な内面まで細かく描かれていて、リアルに共感できる素晴らしい作品だと思います^^本編でのジミンの分裂が、まるで自分の事の様で 涙が出ました！これからも楽しみに待ってます♪ (2019年10月31日 21時) (レス) id: e57cf50558 (このIDを非表示/違反報告)
ろーらん?(プロフ) - あがしおんさん» 嬉しいです（；＿；）がんばりましょう！ (2019年10月30日 1時) (レス) id: c96f5d7f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年10月16日 1時
