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小さな心細い街灯に導かれ見つけた二階建てのアパート。
その二階、丁度建物の真ん中辺りの部屋が彼女の部屋。
外階段の屋根に飛び込んで、ハンカチで肩の雨粒を払っていると。
「あの、もう少し雨足が緩むまででよろしければ、雨宿り……されませんか？」
彼女の親切に甘え、彼女の部屋で送ってもらったお礼という雨宿りをさせてもらうことになった。
今宵の雨、グッジョブ！
「散らかってますが……」
「ふふ。こんなに綺麗にしてるのに？」
謙遜する彼女からまずは電話を貸してもらい、執事に迎えの車を寄越すようここの住所を伝えた。彼女にあまり長居しない印象を持ってもらう事も兼ねて。
案内されたラグに直に胡座をかき、貸してもらったタオルで軽くスラックスの裾の水気を取り、もう一本で頭を拭く。
目の前の小さなテーブルに置かれた温かな湯気を立ち上らせるマグカップに手を伸ばし、口をつける振りをして僕のスーツのジャケットの水気を丁寧に拭き取ってくれている彼女を見た。
「ごめんね？そんなことまでしてもらって」
「いえ！こんなの、送っていただいたお礼にもなりません。早く乾かさないと大切なスーツがダメになってしまいますから」
僕は一言お礼を口にしながらくるっと部屋を見渡した。
1DKに家具とベッドがひしめく部屋。玄関に隣接する可愛らしい小さなキッチンの片隅に食器が伏せて置いてあるのが見えた。
僕の書斎の四分の一程しかないこの部屋。
女性の独り暮らしならば、このくらいの広さでちょうどいい…………の、だろう。多分。
部屋の壁紙から、今腰を落ち着けているラグから、首から掛けたタオルから、僕の後ろのベッドから醸し出される甘く濃い彼女の香りが少しずつ湿度が高まる室内の空気に溶け込み、吸い込む度に僕の心臓を高鳴らせ欲を疼かせる。どこもかしこも彼女の香りに包まれていて、何と幸せなことか。
こんな狭い空間にギュッと凝縮された甘く誘う香りにすでに酔いそうだ。
いや、この広さだからこそ、この堪らなく幸せな空間が演出されているのだ。
そう考えるとふわふわいい気分になって頬が緩んだ。
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あがしおん(プロフ) - ミアさん» コメントありがとうございます！父親’sのお話を気に入ってくれてありがとうございます！ヴァンパイアシリーズはそれとなく接点を設けていますので、お楽しみいただけたかと思います。私も欠いてて楽しいので、またいつかこういった設定で書いてみたいです！ (2020年7月22日 21時) (
レス) id: 790268ff01 (このIDを非表示/違反報告)
ミア - 愛しのJasmineを見てこの作品を見たんですけど、設定が繋がっていてとてもおもしろいですね！そういう話が大好きなのでまたそうゆう作品を作ってくれたら嬉しいです。 (2020年7月22日 19時) (レス) id: 61c218d212 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - みほんぬさん» みほんぬさん！コメントありがとうございます！お気に召していただけて何よりです。毎度のことながらボチボチゆるっとな更新ですのでのんびりお待ち下さい！ (2019年10月10日 0時) (レス) id: d4473d8198 (このIDを非表示/違反報告)
みほんぬ(プロフ) - あがしおんさん！待ってましたー！！族長様…最高です！また毎日の楽しみができました！ありがとうございます。いつもワクワクキュンキュンしながら読ませていただいております。また更新されるのを楽しみに日々過ごします！頑張って下さい！ (2019年10月10日 0時) (レス) id: 9284a0a7c9 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» たきゆさん！コメントありがとうございます！族長様を楽しみにしていただいて、作者も嬉しいです♪いつものボチボチゆるっと更新ですので、のんびりお待ちください。 (2019年10月5日 19時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年7月13日 13時
