† 贄を置く ページ9
SJ side
唇を離すと黒い可愛らしい瞳から光が消え、表情が消えた。
「Aちゃん、僕の声が聞こえてる？聞こえたら一つ頷いて」
暗示の度合いを見るために話しかけると、小さく頷く。
彼女の身を守るためには仕方がなかった。
今のジミンに駆け寄ろうものなら、本気で食いちぎられてもおかしくない。
何せ今の彼女は文字通り『生贄』。
生贄に意識は要らない。
それにさっき車内で感じた恐怖と不安の香りのレベルからして、かなりのショックを受けたみたいだし、恐怖を和らげる意味でもこれで良かったと思う。
それが一族の長としての僕の判断。
「行こうか、Aちゃん」
突っ立って、僕の指示を待つ従順な傀儡となった彼女の肩に手を回し、数歩進む。
十分な間合いを取り、立ち止まると、ざりっと足を引き摺る音が止まった。
異様な気配を放ち僕等を見つめる、赤黒くなってしまった我が子。
綺麗な顔に似つかわしくない血の筋が肌に描かれている。
血が固まった、鈍い艶の髪。血だけではない髪の黒さ。
ジミナ、髪を染めたんだね。
カラー剤の臭いって、相当辛いはずなのに。特に匂いに敏感なお前がよく我慢したね。
「……ようこそ、若き獣。待ってたよ」
褒めてあげなくちゃ。
「獣になったお前がよく他の人間を襲わず真っ直ぐここにたどり着けたね。褒めてやろう」
本能の塊となったジミンの目が、ギラギラと輝いた。
お目当ての極上の果実を見つけて嬉しそうにしている目だ。
「ウ……ソノ血ヲ」
「……欲しいのかい？
それもそうか、身体の再生に随分力を使ってしまっているんだ、早く補給したいよね。
気持ちはよく分かるよ……」
「僕の手に重ねて……」
僕がAちゃんの耳元で囁いて掌を見せると、スッと可愛らしい手を差し出す。
「しかも特級レベルの上玉の血だ。これが欲しくて堪らないよね」
「グルルルル……」
僕がAちゃんの肩を抱き寄せると悔しそうに威嚇する本能の塊。
それでも僕達に襲い掛かれない理由はただ一つ。
僕との力の差をちゃんと理解している証拠だろう。
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あがしおん(プロフ) - 舞子さん» 舞子さん、初めまして！コメントありがとうございます！お気に召していただけて嬉しいです♪そして、泣かせてしまって申し訳ないです(汗) (2020年4月30日 13時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
舞子(プロフ) - あがしおんさん、初めまして。気づいたらあがしおんさんの世界観と描写に酔い、親子、師弟関係の絆に号泣していました。素敵な作品に出会えて幸せです。公開して下さり、ありがとうございます。 (2020年4月30日 4時) (レス) id: acc8d9f98e (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - カナタさん» カナタさん毎度ありがとうございます！ジミンちゃんは無事和解成立！テヒョン君はミッション中のご様子･･･ｗテヒョン君はミッションクリア成るか？（爆） (2019年4月6日 2時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - ジミンちゃん's よかったね！なかよくするんだよ〜ヽ(；▽；)そしてまさかの繋がりwww お久しぶりのテヒョンくんですね！ (2019年4月6日 1時) (レス) id: 0d504a4dae (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - そす。さん» そす。さん、いつもコメントありがとうございます！いやー！長かった、このターン！ラスボス、待ちくたびれてますよ……ねぇ？w (2019年4月1日 7時) (レス) id: 79d9a7f227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年3月17日 0時
