こんな僕でも・・・が欲しい！６

閉じ込められていた者の気持ち ページ36

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─おいっ ! 僕の声が聞こえてるんだろ ?! ─



叫び続けて喉が痛い。



─僕をここから出して ! ねえっ ! ─



叩き続けて拳が痛い。



─っ……お願い……何か言えよっ─



心が折れそうだ。




……本能(あいつ)も、この暗闇でこんな気持ちでいたのかな。


　確かに僕は二度も自分の本性に恐怖し、絶望した。

　ヴァンパイアである事で、人間と同じような立ち振舞いが出来なかった自分を恥じ、仲違いする二人を止められなかったことを後悔した。


　事あるごとに起こる問題を、本能のせいだと責任転嫁していた。
血を飲むことをひたすら我慢して、その衝動の全てを押し込めて閉じ込めていた。

　それが本能を拒絶したって事になってしまうのなら。

僕は、僕を認めていなかったって事だって。そう思った。

　少なくとも僕は、ヴァンパイアであることをちゃんと自覚している。認めている。
……つもりになっているかもしれないけれど、僕の身体は普通の人とは違うって解ってる。

　Aさんはこんな僕でも好きだって言ってくれた。
他の誰にも僕を認めてもらえなくても、Aさんだけは僕を受け入れてくれているって信じたい。


　きっと、本能の僕も同じ事を思っているんじゃないのかな？



　真っ暗な壁の向こうに必死に語りかけた。



─ねえ、僕はAさんが好き。
　それは、君も一緒なんだよね ? ─



─君がAさんを求める度に、僕も同じ気持ちになったんだよ ? ─



─近頃は君の方が強すぎて、求める欲が抑えられないくらいなんだよ ? ─



─そんな僕をAさんは受け止めてくれるし、こんな僕と同じ気持ちになってくれている─



─君も分かるだろ ?
いや、君の方が僕よりずっとよく分かってるんだろ ? ─



　そうだ。そうなんだ。
Aさんの血に感じる、初めの頃には感じなかった何かの『力』。




　きっとあれは、あの『力』は──。


　

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