こんな僕でも・・・が欲しい！６

　ボクが手に入れたいもの ページ34

？？




なんだ簡単な事なんじゃないか。
こいつと入れ替わる事なんて。
今ならきっかけさえあれば、もう一人のボクを闇に引きずり込める。閉じ込められる。



そして代わりにボクが外に出られる。



そう思ったのに、それでも完璧じゃなかった。


もう一人のボクは、ボクを抑え込む術を知っている。
ボクを閉じ込める方法を知っている。

でも、ボクだってただ我慢してきた訳じゃない。
もう一人のボクがリビドーを解放させた時、ボクが出られるって分かっていたから。

もどかしかったけど、それは苦じゃなかった。
アレがボクを誘い出す、甘い匂いを溢れさせてくれるお陰でどんどんボクが優位になれた。

賢いボクにボクの一部を混ぜ込んだおかげで、肌を重ねる毎にもう一人のボクの心の隙間が大きくなって、短い時間だけでも外に出られるようになった。

ボクが血を飲む度、アレの血の中にボクの欲しいものを感じて、次こそは今度こそは絶対、ボクのものにしたいと欲張りになった。



もう一人のボクとボクの居場所を交換できれば。


この身体だって完全にボクのものになる。

いや、そもそもこの身体だってボクの物だったんだ。
返してもらうだけのこと。


　




だからボクにとってあの事故は、もう一人のボクを閉じ込める最高の好機だったんだ。



そうして手に入れたのに……。



　

なのに。


なのにどうして。



　



【残念。今は彼女は私の操り人形だ。欲しければ力ずくで奪えばいい】



目の前に一番強い者が立ちはだかった。



今までボクの傍にいた強い者よりも、もっと、ずっと強い者。



どうあがいても勝ち目のない相手。




でもその傍らにはボクの欲しいものがある。




欲しい。





相手がとんでもなく強いと分かっているけれど。
そいつの隣にいるアレはボクのものだ。








Aはボクのものだ。

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