† 凍てつく憤怒 ページ18
SJ side
吐く息が目に見える程に白くなり、漂い、消える。
冷たさの和らいだ春の風も緑芽吹く木々も、待ちわびた春の訪れに喜ぶ花も、地上の全てを暖かく照らす陽の光すらも冷たく凍る。
この空間だけが僕の怒りで急速に凍り付き、極寒と変わり果てた。
この空間に人は寄り付かない。所謂、結界のようなもの。
暗示の他に僕が使えるもう一つの特権。
そういえばこんな町中で作ったのは初めてだな。ユンギが焦るわけだ。
獣が一歩、踏み出そうとした足に向けて手を伸ばし、素早く空を薙ぐ。
僕の作り出す冷気が鎖となってジミンの足に絡みつき、地に縫い付ける様に自由を奪った。
「どうした？獣。せっかく私がお前の望みどおりに遊んでやろうとちょっと本気を出してあげたのに、この程度で動けないなんて情けないな？」
「クソッ……足ガ……」
「ふ。獣には鎖がお似合いだ」
身動きが取れず、イラつく獣。僕を見る目に少しの怖れ。
本能に身体を明け渡してしまったジミンの身体の震えが増しているようだ。寒さに……というより、僕が作り出したこの空間に怯えている様にも見える。
僕は生き物すら寄せ付けぬ空間に一歩踏み出し、足元を凍り付かせ動けずにいるジミンの身体との距離を詰める。
「コノ……足ガ、ドウナッテモ……」
「この際仕方ないよ。お前を深淵に戻す為なら脚の一本や二本、くれてやるさ。どのみち吸血して生気を補えば再生されるんだからな」
本能が黙り込んだ。
……少しは怯んでくれたのか？
その僅かな油断に僕の足元が揺らぐ。
「“……できるの？『父さん』に”」
ビクッと進む足が竦み立ち止まる。
まさか、こんなに早くジミンが身体を取り返した？
「“……ボクの足を……奪えるの？”」
それとも獣がジミンを飲み込んだ？
「……っ」
喉まで出そうになった我が子の名前を飲み込んだ。
すぐにでも駆け寄りたい気持ちを押し殺した。
「“寒さが、緩んだよ？『父さん』？”」
僕の一瞬の動揺も感じ取った本能の獣。流石に鼻が利くな……。
まだダメだ。こいつは違う。ジミンじゃない。
まだ心を許してはいけない。
それにまだ飲み込まれてはいない。
薄ら笑いを浮かべ僕を見つめる紅い瞳の奥、本能によって囚われてしまった我が子の意志を確かに感じたから。
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あがしおん(プロフ) - 舞子さん» 舞子さん、初めまして！コメントありがとうございます！お気に召していただけて嬉しいです♪そして、泣かせてしまって申し訳ないです(汗) (2020年4月30日 13時) (
レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
舞子(プロフ) - あがしおんさん、初めまして。気づいたらあがしおんさんの世界観と描写に酔い、親子、師弟関係の絆に号泣していました。素敵な作品に出会えて幸せです。公開して下さり、ありがとうございます。 (2020年4月30日 4時) (レス) id: acc8d9f98e (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - カナタさん» カナタさん毎度ありがとうございます！ジミンちゃんは無事和解成立！テヒョン君はミッション中のご様子･･･ｗテヒョン君はミッションクリア成るか？（爆） (2019年4月6日 2時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - ジミンちゃん's よかったね！なかよくするんだよ〜ヽ(；▽；)そしてまさかの繋がりwww お久しぶりのテヒョンくんですね！ (2019年4月6日 1時) (レス) id: 0d504a4dae (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - そす。さん» そす。さん、いつもコメントありがとうございます！いやー！長かった、このターン！ラスボス、待ちくたびれてますよ……ねぇ？w (2019年4月1日 7時) (レス) id: 79d9a7f227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2019年3月17日 0時
