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YG side
「起きてて辛くない?」
「ん、大丈夫」
「でも、ここじゃ寒いから、ソファに座って?」
「……お前も一緒に」
言ってしまってから急に恥ずかしくなった。
それでもAは、
「毛布、寝室から持ってくるから。それからでいい?」
背中を撫でて優しくそう言った。
何となく寂しかった。人肌恋しかった。なんて言ったら、流石にAに笑われるだろうな。
鍋の火を弱め、パタパタ寝室へ向かうAの背中を、ソファに座らず背もたれにして熱っぽい頭でぼんやり見ながら、我ながらすげぇ甘えてんなぁなんておかしくて笑ってしまう。
病気で気が弱っているからなのか、それほどにAの存在がなくてはならないものになっていたのか。
「オッパ、毛布着ておいてね?」
目の前で微笑みながら毛布を差し出すAの腕を引き寄せ、飛び込んできたAの華奢な体を抱き留めた。
「お、オッパ?」
「一緒に入れ」
毛布を広げて羽織り、俺の足の間に背を向けて座るAを包み込み顔を埋める。
俺よりも少し低い体温と、甘い匂い。僅かに感じるコーヒー豆の香り。
この優しい体温に安心する。トクトクと規則正しく聞こえる心音が心地いい。
このまま素肌で冷ましてくれねぇかな、なんて卑しい事まで浮かんでくる。
「……なあ、」
「ん?何ですか?」
ホントはそんな事できる体力はないんだし、そんな事したらAに風邪うつすからと、どうにか理性を働かせ喉元まで出てきそうになった我が儘の代わりに、
「さっき、何作ってた?」
今もとろ火が温め続ける鍋の中身の話にすり替えた。
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あがしおん(プロフ) - さあとさん» コメントありがとうございます!ホントですか?!嬉しいです〜!お暇な時にまた違うお話もよろしければ♪ (2020年8月4日 21時) (レス) id: 790268ff01 (このIDを非表示/違反報告)
さあと(プロフ) - このシリーズ大好きです(^^)たのしかったぁ(*゚∀゚*) (2020年8月4日 20時) (レス) id: ec1f7b1c32 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 未緒さん» コメントありがとうございます!なるほど続編ですか……。このペアも確かにその後が気になるっちゃあ気になりますねぇ。確約はできませんが、いつか書けたらいいなぁ。と作者も思います! (2020年2月2日 21時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
未緒(プロフ) - すごく楽しかったです!続編も是非ともお願い致します!!(^-^) (2020年2月2日 21時) (レス) id: 52896eb52c (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - コットンさん» コメントありがとうございます!最高だなんて、嬉しい限りです。キュン&ほっこりしていただけて良かったです♪ (2019年3月9日 10時) (レス) id: 79d9a7f227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年12月6日 0時