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YG side
「え、あれ?ユンギさん?」
「ぉ、おう」
俺を見て驚き、頬を赤くしてふわっと柔らかく笑ったAが、俺達の前にコーヒーを並べた。
もう見慣れた制服姿はいつもと変わらないのに、帽子を被らず軽く束ねた髪型と場の雰囲気のせいで印象がずいぶん違って見える。
本店勤務だからか、スタンドにいる時とはまた違う言葉遣いと所作で接客する彼女に、俺の方が若干緊張していた。
「珍しいですね、カフェにいらっしゃるなんて」
「ん、こいつがここに来たいって言ってて……」
「初めまして。キム・ナムジュンです。ユンギヒョンがお世話になってます」
「初めまして、カン・Aです、こちらこそお世話になってます!」
ナムジュンがスムーズな流れで始めた自己紹介で丁寧にお辞儀をしたAが、何かに気づいたような顔をして俺を見た。
「ヒョン、って事は、ユンギさんの後輩さんですか?」
「ああ、後輩なんだけど、俺の上司」
「ん?後輩で上司?何かややこしいですね?」
小首を傾げたAに笑いかけながらジュナが続けた。
「会社での建前ですよ。後輩で覚えててくれて構いませんから」
「ふふ、ナムジュンさんがそうおっしゃるなら。承知いたしました!」
ふわっと微笑んだAが、離れた場所で聞こえた『ありがとうございました』の声に反応してこだまを返す様に同じように挨拶した。
「お忙しいのにお引き留めしてすみません」
「悪かったな、A」
「いいえ!それでは失礼します。ごゆっくりどうぞ」
軽く会釈して店の奥へ行くAの後ろ姿を目で追った。
ナムジュンも一緒になってAを目で追っていたかと思うと、
「へぇ。Aって呼ぶんだ」
前のめりになってえくぼ作ってニンマリ微笑んだ。
「……見たんなら帰るぞ」
「もうちょっと仕事ぶりを見ていこうって気はないんですか?ヒョンは」
「俺一人でならな」
届けられた熱々のコーヒーをナムジュンと啜る。
「いいじゃないですか。減るもんじゃなし」
「いいや、減る。現にお前は俺の楽しみを減らしやがった」
「それにしてもヒョンのお眼鏡に適った彼女、結構可愛い方でしたね。」
「おいこら、話逸らすな」
レジ対応中のAをチラ見しながらニコニコしているジュナをひと睨みした。
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あがしおん(プロフ) - さあとさん» コメントありがとうございます!ホントですか?!嬉しいです〜!お暇な時にまた違うお話もよろしければ♪ (2020年8月4日 21時) (レス) id: 790268ff01 (このIDを非表示/違反報告)
さあと(プロフ) - このシリーズ大好きです(^^)たのしかったぁ(*゚∀゚*) (2020年8月4日 20時) (レス) id: ec1f7b1c32 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 未緒さん» コメントありがとうございます!なるほど続編ですか……。このペアも確かにその後が気になるっちゃあ気になりますねぇ。確約はできませんが、いつか書けたらいいなぁ。と作者も思います! (2020年2月2日 21時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
未緒(プロフ) - すごく楽しかったです!続編も是非ともお願い致します!!(^-^) (2020年2月2日 21時) (レス) id: 52896eb52c (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - コットンさん» コメントありがとうございます!最高だなんて、嬉しい限りです。キュン&ほっこりしていただけて良かったです♪ (2019年3月9日 10時) (レス) id: 79d9a7f227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年12月6日 0時