172 ページ22
YG side
店内に一歩足を踏み入れると、ケーキのような甘い香りと一緒にコーヒーの薫りが鼻腔をくすぐる。
ダークウッドを基調とした落ち着いた雰囲気で、幾つかのパーティションで区切られた席が並ぶ。
店の外観だけしか知らなくて、こういうところでAが働いてんだな。といった印象。
「へー。おしゃれですね」
「あぁ、だな」
いらっしゃいませ！とこだまのようにあちこちから聞こえる中、店員にテラスの手前のテーブル席に案内された。
二人でコーヒーを注文しチラチラと店内を見渡す。
そう言えば、当のAがいねぇな。今日は本店勤務だって聞いてたのに。
もしかしたら昼休憩にでも入ってるのか？
「彼女さん、居ますか？」
「……いや、居なさそうだな」
実は今日、俺がカフェに行くことはAには伝えていない。
驚かせるつもりがないとは言えないが、変に気を遣われても俺が困ると思って言わずにおいた。
だからすれ違いになっても仕方ないし、それならそれでさっさとコーヒー飲んでナムジュン連れて帰るだけ。
ジュニの事だから、ガキみてぇな揶揄い方はしないだろうが、正直テンション上がったこいつは何するか分からねぇし。
いつもの癖で店の備品でも破壊されたら堪ったもんじゃねぇ。
どうここを早く切り上げるか、策を練っていると背後から近づく気配。
どうやら店員がコーヒーを持ってきたらしい。
「お待たせ致しました、アメリカーノです」
「ん、さんきゅ」
考え事をしていたはずの俺の耳に聞き慣れたその声が届き、顔も見ずにいつも通りの返事をしてしまった。
マズいと思った時にはもう遅く、俺が反応したことで薄らニヤけたナムジュニがその店員をしっかりと確認したところが目に入った。
「……はぁ〜」
ここ、スタンドじゃないってのに、あの声聞いただけでこの返し。
もう条件反射としか言いようがない。
頭を掻き、ナムジュンから視線を外すしかなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 551人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あがしおん(プロフ) - さあとさん» コメントありがとうございます！ホントですか？！嬉しいです〜！お暇な時にまた違うお話もよろしければ♪ (2020年8月4日 21時) (
レス) id: 790268ff01 (このIDを非表示/違反報告)
さあと(プロフ) - このシリーズ大好きです(^^)たのしかったぁ(*ﾟ∀ﾟ*) (2020年8月4日 20時) (レス) id: ec1f7b1c32 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 未緒さん» コメントありがとうございます！なるほど続編ですか……。このペアも確かにその後が気になるっちゃあ気になりますねぇ。確約はできませんが、いつか書けたらいいなぁ。と作者も思います！ (2020年2月2日 21時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
未緒(プロフ) - すごく楽しかったです！続編も是非ともお願い致します！！(^-^) (2020年2月2日 21時) (レス) id: 52896eb52c (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - コットンさん» コメントありがとうございます！最高だなんて、嬉しい限りです。キュン&ほっこりしていただけて良かったです♪ (2019年3月9日 10時) (レス) id: 79d9a7f227 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あがしおん
| 作成日時：2018年12月6日 0時
