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「普通に……?」
大義名分?
私がユンギさんにお返しで奢るっていうのが、大義名分に聞こえてたのかな?
「確かに最初は奢れって言ってお前と飯食いに行ってたけどさ、もうそろそろそれ、気にしなくてもよくねぇ?」
「私はそもそも大義名分だなんて思ってませんよ。何なら私の方が、ユンギさんに奢るって口実でユンギさんに会ってたようなものだったんだし」
「……嫌じゃ、なかったのか?」
「全然!ユンギさんとお酒飲んだり、ご飯食べたりするの、とっても楽しいです!」
ユンギさんはニッと子供みたいな笑みを浮かべて、
「そうか」
とっても喜んでいるように見えた。
──ユンギさんのうちの近所と言えば、あの赤ちょうちんと年季の入った暖簾の居酒屋。
今日はカウンター席が埋まっていたから、壁側のテーブル席に向かい合わせに陣取った。
早速いくつかの料理を注文したユンギさん。
「たまには梅酒以外のも飲んでみるか?」
「え、飲んでみたいです!」
今日のユンギさんは焼酎を二人分注文した。
焼酎の瓶と2つのグラス、料理が私達の前に届き、焼酎をグラスに次ぎ分け、
「ほら。一気に飲むなよ」
「わーい!いただきます」
カツン、とグラスを当てると、ユンギさんはグイッと一気に呷る。
私はちょっとグラスを傾け、初めての焼酎に口を付けた。
小さなグラスだし、この位の量なら飲めそう?なんて調子に乗って、ユンギさんの真似をしてぐっとグラスを傾けた。
最初に口に広がる甘さに、あ、余裕♪なんて思った瞬間、
「んん!……っ」
口の中と喉ががかぁっと熱くなる。
慣れない感覚に眉をひそめてしまった。
「はは!キツかったか」
「大丈夫、ですっ」
「無理すんな。梅酒に換えるか?」
私のグラスに手を伸ばしたユンギさんを
「いえ、飲めますよ、この位っ!」
強がってまたグラスに口を付けた。
「分かった分かった、無理せず少しずつ飲めよ?」
くつくつユンギさんに笑われながら、どうにかグラスの中身を空にした。
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あがしおん(プロフ) - さあとさん» コメントありがとうございます!ホントですか?!嬉しいです〜!お暇な時にまた違うお話もよろしければ♪ (2020年8月4日 21時) (レス) id: 790268ff01 (このIDを非表示/違反報告)
さあと(プロフ) - このシリーズ大好きです(^^)たのしかったぁ(*゚∀゚*) (2020年8月4日 20時) (レス) id: ec1f7b1c32 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 未緒さん» コメントありがとうございます!なるほど続編ですか……。このペアも確かにその後が気になるっちゃあ気になりますねぇ。確約はできませんが、いつか書けたらいいなぁ。と作者も思います! (2020年2月2日 21時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
未緒(プロフ) - すごく楽しかったです!続編も是非ともお願い致します!!(^-^) (2020年2月2日 21時) (レス) id: 52896eb52c (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - コットンさん» コメントありがとうございます!最高だなんて、嬉しい限りです。キュン&ほっこりしていただけて良かったです♪ (2019年3月9日 10時) (レス) id: 79d9a7f227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年12月6日 0時