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YG side
紙コップはまだ十分に熱い。スリーブの上から握り直し、口元に近づけると、白い蓋の小さな飲み口からコーヒーの香ばしい香りが立ち上る。
ゆっくりカップを傾けると少しづつ流れ込み広がる、なめらかなコクと優しい酸味。
「あ、うま」
率直な感想が漏れた。
いつもは休憩室のコーヒーばかりで、店で淹れたコーヒーちゃんと飲んだのって久しぶりかもしれねぇ。
「ホント?よかった。ユンギってコーヒーに煩そうだから」
コーヒーは好きだけど、煩いって程こだわりはねぇんだよな。
ジニヒョンもカップを傾け、やっぱりここのは美味しいなぁ。なんて微笑んでいた。
「何でわざわざ行ってきたんですか?コーヒースタンド」
俺の横で立ったままのジニヒョンに尋ねたら、ニコッと『わざとらしい』笑顔を見せ小声で、
「このコーヒー作ってくれた、ユンギの想い人の顔を拝みに行ってきたんだ」
「ん゛っ!」
動揺して加減を忘れて紙カップ傾け、流れ込んできた熱々のコーヒーで口の中を火傷しそうになった。
目立たない様に悶えているところに、ジニヒョンが追い打ちをかけるように、
「(ユンギをそこまで惑わせる子が、どんな子か気になってたんだ。なかなか可愛い子だったね。ユンギの女性遍歴を鑑みてもどストライクなんじゃない?)」
耳元で盛大に揶揄ってきた。
「(……っ、ちょっと黙っててもらえますか?ヒョン!)」
鑑みるったって、直近の二人しか知らねぇだろ?
俺は揶揄われるキャラじゃねぇっての!
しかもあのジニヒョンに!
とりあえずジニヒョンを睨みつけたが、それでもめげないジニヒョンは
「ユンギ!ここのコーヒー気に入ったんなら、直接スタンドに足を運んでみなよ?」
いつものウザイテンションで再び、あの『わざとらしい』笑顔を俺に見せつけ、自分のデスクに戻っていった。
「……チッ」
その背中をまた睨みつけて、舌打ちが出た。
なんのつもりなんだか、あのヒョンは……。
結婚したら性格まで変わんのかよ?
あんな話してから、ジニヒョンがうぜぇしめんどくせぇ!
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あがしおん(プロフ) - みほんぬさん» 今回ト書きを控えてみたんです。でも、気づかれなかったという事は、違和感なく読んでいただけてると言う事ですね!ありがとうございます!これでまたぼちぼち更新頑張れます〜! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
みほんぬ(プロフ) - あがしおんさん!今回書き方変えていたんですね!それにすら気づかないほど…笑!頭の中でイメージというか、想像が凄く出来ます!個人的な意見ですが、あがしおんさんの作品が一番想像しやすく、すんなり入ってきます!すみません!分かりにくくて…とにかく好きです笑 (2018年11月2日 20時) (レス) id: 8841fa546a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - みほんぬさん» こちらこそありがとうございます。今回、遠きに&悲しくシリーズと書き方を変えてますが、読みにくくないですか?不都合ありましたら、いつでもご意見頂ければと思います! (2018年11月1日 23時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
みほんぬ(プロフ) - あがしおんさん!お待ちしておりました笑!ユンギさん、ありがとうございます!kさんと私も同感です!全部の作品が本当に自分の事かのように笑!想像出来る作品を作って下さり毎回感謝しかないです!仕事行く前に読んで頑張ってます!更新ファイティンですー! (2018年11月1日 22時) (レス) id: 8841fa546a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - kさん» コメントありがとうございます!お気に召して頂けて嬉しいです!マイペースですが更新頑張ります! (2018年11月1日 7時) (レス) id: 79d9a7f227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年10月24日 21時