そのこころもて

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お昼のコーヒースタンド。カフェエプロンを身に着け、帽子を被って早速オーブントースターの前で、お客様のご注文された軽食のホットドッグを温めていた。

昨日今度って言ってたけど、いつ？
昨日は結局来れなかったって謝ってたし、だからって今日来るとは限らないよね。

と思いつつも、落ち着かない気持ちは行動に滲み出ていたらしく、チラチラとお客様の顔を確認したり、広場にいる人の顔を見ていたり。

『何？今日は落ち着きがないね、A？』
「えぇ？そうですかっ？」

先輩に指摘されて、焦ってしまった。


今日来るってメッセージが来たわけじゃないんだから、そわそわしてても仕方ないんだけどね……？


数人のお客様のオーダーをこなすと、新たにお客様がやって来られた。

「『いらっしゃいませ〜！』」

先輩と私の声がハモった。
お客様はニコッと笑って前髪をかき上げて、いつものをご注文される。

「すいません、カフェオレください」

糸目で笑う可愛い雰囲気のこの男性、時々顔を拝見する方で、高確率でカフェオレを注文される。
私が心の中で、糸目のカフェオレちゃんという通称を付けているお客様。
だって女子なんだもん、可愛いんだもん！

「あっ……」

首から会社のIDらしい物を下げていて、マークがユンギさんから頂いた名刺のものと一緒だった事に気づいた。

ユンギさんの事、知ってる方かな？聞いてみようかな？でも急にそんな事聞いたら不審がられるかな。
一瞬でそこまで考えて、

「いつものですね？ありがとうございます！」

結局何も聞くことができず、いつも通りに接客した。



「ありがとうございました！」

カフェオレちゃんにいつものを手渡して、会社に戻られる後ろ姿を何となく目で追っていた。

すると背が高く、肩幅が大きな男性の前で立ち止まって言葉を交わし、そのまま歩いて社屋に入って行かれた。

カフェオレちゃんと入れ替わるようにやってきた肩幅の大きな男性。
近づくほどにしっかり見えてくるその人の顔。

え、ちょーイケメン！！

ちょっと待って？こんな近くにこんなイケメンが普通に働いてたの？！
知らなかった……。私の目は今まで何を見て来てたのよ？

「いらっしゃいませ」

私は初対面だったこの男性、どうやら常連さんだったらしい。


『あ、こんにちは！お久しぶりですね』


スタンド勤務最長の先輩が、この男性の顔を知っていたから。

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