本の虫の我が儘 ページ36
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『台風かぁ･･･。』
「しょうがないよ。１０月に入っても来るからね。台風。」
今日は僕の誕生日。
･･･だけれど、台風が直撃コースを辿るようで、荒天が苦手なAが僕の部屋に来てベッドの隅に立て籠もり、恨めしそうに外を見つめている。
Aが張り切ってデートプランを立てていたらしいけれど、
『台風が全部飛ばして行っちゃった。』
と、落ち込んでいる。
「僕はAと一緒に過ごせるだけで素敵な１日になるんだよ？」
『でもぉ･･･。』
ベッドの端で小さくなってしまうAの隣にくっつくように座る。
シュシュで１つにまとめた髪をひと撫でして、その小さな背中を包んだ。
「今日出掛けられなかった分、晩御飯に期待してるんだけどな？」
『うんっ！それは期待してていいよ？腕によりを掛けますから！』
「おぉっ、それは楽しみだなぁ！」
･･･よかった。ご機嫌が直ったようだ。
あんなにたくさん何を買い込んできたのか、見せてくれなかったから分からないけど、冷蔵庫に片づけることすら手伝わせてくれなかったくらいだから、よっぽどびっくりさせたいのかな。
まあ、１つはあからさまに四角い箱だったし、ものすごく丁寧に運んでいたから、ケーキがある事は間違いないけど。
外は風がいよいよ強くなり、雨粒が窓を叩く様に当たる音が聞こえる。
ガタガタ風で揺れる窓を気にしながら夕飯の準備をしていたA。
「カーテン閉めとこうか。」
『うん、ありがとう、オッパ。』
カーテンをしっかり閉めて外に気が行かない様にしてあげた。
『本、読んで待ってていいよ？』
「･･･僕はAが料理するところ、見てたいけどな。ダメ？」
『ダメじゃない、けど･･･。』
僕は手伝えないから、と言うと、ずっと見られてると恥ずかしい。と言いながら背を向けた。
聞こえはじめる包丁がまな板に当たる音。
チラリ見えるAの横顔は真剣で、僕と目が合うと照れたように逸らし、耳を赤くした。
･･･可愛いなぁ。
テキパキとキッチンを往復して調理しているAの姿を見ながら、包丁とまな板で奏でられるリズミカルな音と、鍋がぐつぐつと立てる音が心地よくて、次第に僕の瞼を重くしていった。
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あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうございます！情景描写をすごく頑張った作品だったので、そう言っていただけると超嬉しいです♪ (2019年3月1日 17時) (
レス) id: 79d9a7f227 (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - 初々しい二人で優しい気持ちになりました〜(*^-^*)気温とか空気とかが感じられて、読みながらマイナスイオンを受ける感じがしました♪ (2019年3月1日 17時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - アユさん» コメントありがとうございます！気に入っていただけて作者も嬉しいです！これからもぼちぼちマイペースで頑張ります！ (2018年8月17日 1時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
アユ - ナムのお話って少ないので書いていただき嬉しいです!ナムペンなので凄くワクワクしながら毎回読ませていただきました。是非またナムの作品作ってください！これからもがんばってかださい！ (2018年8月17日 1時) (レス) id: a71d80d797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あがしおん
| 作成日時：2018年7月31日 1時
