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身の上話 ページ43

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 まだ危ないだろうってことで、ナムジュンさんに頼まれ、Aさんの部屋まで送ることを許された。

「ご馳走していただいて、ありがとうございました」
「ううん!忙しいのに僕が無理言って誘ったんだから、この位なんてことないよ」
「あの……失礼を承知で聞いて、いいですか?」
「ん?いいよ!何でも聞いて?」

 Aさんはちょっと迷いながら、僕に尋ねてきた。

「あ、あの……ジミンさんのご家庭って……」
「ん?普通の一般家庭だよ。母さんがパートで家計を支えてくれて、僕を高校まで行かせてくれた。だから大学には行かずに働いて、今度は僕が母さんを支えてあげようって思っていた矢先に病気で倒れて。
 他界したのが40年くらい前かな。母さんには楽させてあげたかったし、もっと長生きして貰うつもりだったんだけどね」
「40年前?……あ、そっかジミンさんは」
「うん。その時はとっくにヴァンパイアしてた」
「してた……んですか……。あ、あの、お父様は?」
「一応居るんだけどね。もう物心つく前からずーっと帰ってこないから、僕はてっきり母子家庭だって思ってた。そしたら母さんが病気で亡くなる寸前にようやく顔出して。
 ……ずっとほったらかしで、病気の母さんのお見舞いにも来ないのかって、すごく腹立たしかった」

 ……だから父さんは嫌いなんだ。
 そもそも顔もよく知らない父親なんて、そう簡単に好きになれるわけもないんだけど。

「僕が避けてるって言うのもあるんだけど、父さんとはほとんど会う事もないんだ。
 会社の社長とか言いながら海外をあちこち飛び回ってるようだけど、実際どこで何してるか分かんないし、連絡もしたことないから良く知らないんだ」
「……そう、なんですか」

 Aさんが気まずい表情をしてる。
やっぱり父さんの話はあんまりしたくないな。

「今はユンギヒョンが僕の面倒見てくれているんだ」
「あ、ベテランの吸血鬼さんの……」
「うん。ヒョンと一緒に居ればとりあえず雨風はしのげるし、たまの“食事”もありつけるし。だから父さんがいなくても全然困らないし!」
「そう、なんですね……」


 そんな僕のつまらない身の上話をしているうちに、彼女のマンションに着いた。

君の部屋まで→←店長の悪戯



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作品ジャンル:恋愛
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あがしおん(プロフ) - syky1814さん» コメントありがとうございます。間もなくパス外して更新しますので、もうちょっとだけお待ち下さい〜。 (2020年6月13日 21時) (レス) id: 4017986d72 (このIDを非表示/違反報告)
syky1814(プロフ) - はじめまして結婚してくださいのパスワードを教えてください。 (2020年6月13日 21時) (レス) id: 1e639eab67 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - kinanekoさん» コメントありがとうございます!何だかガッツポーズが見える気がしてきましたwそんなに喜んでいただけると作者冥利に尽きます。ありがとうございます、ぼちぼちっと頑張ります♪ (2019年1月3日 22時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
kinaneko(プロフ) - あがしおんさんの新作を見つけた時、「来た……!!!!よっしゃ!」と思いました!今年もいろんな作品が見たいです!頑張ってください!応援しています! (2019年1月3日 21時) (レス) id: 6812edf24f (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - ARMY&CARATさん» 私の拙い作品を気に入っていただけて、ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります! (2018年12月29日 2時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年12月25日 0時

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