こんな僕でも・・・が欲しい！

魔性のベテラン ページ3

･


　脱いだらなかなかの癖に、服で見事に隠れて女性レベルに華奢に見える体格。
白に近いブロンドの髪をサラリと風に靡かせ、黒い服がやたらと映える白い肌、涼しい顔で僕を諭すこの男性。
　僕がヒョンと呼ぶこの人は昔から僕の教育係をしてくれている、ヴァンパイア歴数百年の“超”がつくベテラン、ユンギさん。

　こちらのベテラン様からご教授いただいた話によれば、血を求めるヴァンパイアとして目覚めるきっかけはただ1つ、吸血鬼の正当な血統の男子が思春期に入る事。それだけ。
　思春期に入ったら血を求めてコントロールが効かなくなって、だれかれ構わず襲ってしまうらしい。
そうなると社会的にもマズいので、先輩ヴァンパイアが目覚めたばかりの新人(？)の指導に当たるっていうのが慣例らしい。

　幸い僕は、そうなる前にユンギヒョンが教育係になってくれて、襲うなんて犯罪的な事をしなくて済んでいる。


「ヒョンはいいですよね〜。２０人以上でしょ？“食事”の相手。“あの時期”の相手ってその中から選ぶんですか？」
「ん。今のところそのつもり」
「選り取り見取りで羨ましいですね〜、ユンギヒョン。ちなみに何人目探しですか？」
「んー？５３人目？」
「はぁ〜〜〜〜。羨ましすぎる」


　流石は見つめただけで女を落とせると噂の魔性の男。


　僕にもそのスペックが欲しかった……。




　僕はげんなりして項垂れた。

だって男の子なんだから→←腹が減っては何とやら

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す