Pussy Catに酔ったりしない

46th glasses ページ46

YG side


何度も鳴り続ける電話を取ることなく拒否し続けているA。

YG「･･･出ねぇの？」
A「あ、うん。出なくていいやつ。」

素早くAのスマホを奪って見てみると、携帯電話の番号が表示されていた。

なるほど、“出なくていいやつ”ね。

スマホを俺の手から取り返し、部屋にスマホを置いてくると言って出て行った。

ビーズクッションに仰向けに寝転び、横目で飲みかけのカンパリ・トニックの向こうの玄関のドアを見た。


途中で脱走した同窓会。
同じ番号からの電話を拒否し続けたA。
しかも相手は未登録。


それだけヒントがあれば、あいつがここから逃げ出した理由も分かる。

「５年付き合った彼氏ってやつか･･･。」

男が吹っ切れてなかったってことか。

Aの飲みかけのタンブラーに手を伸ばそうとした時、誰かが走ってくる靴音が響いた。
足音は俺の部屋の前を通り過ぎ、すぐそばで止まった。

「･･･まさか･･･。」

その後すぐにAの部屋のドアを何度も叩く音。

収まったかと思うと、

『A？ごめんって！悪かったって。』
A「近所迷惑だから・・・」

男とAの話し声が聞こえ始めた。

漏れ聞こえる話じゃ、Aはもうとっくにその気がない事が分かる。
それなのに男の方は引く気配がない。

男の声がどんどんでかくなっていく。

「はぁ〜・・・面倒は嫌いなんだよ。」


刺されても知らねぇぞ？俺。


立ち上がり、自分のスマホを手に玄関を開ける。

YG「うるさいんで、他所でやってもらえます？」
『何ですか、あんた？』


突然の俺の登場に驚く男。
ま、当然の反応だよな。


YG「見ての通り、隣人ですけど。」
『赤の他人なら、俺たちの問題に首突っ込まないでもらえますか？』

はぁ･･･。もう馬鹿だな、こいつ。
その赤の他人がしゃしゃり出てきた時点で引けばいいものを･･･。

YG「あんたたちがどういう問題抱えてるかとか、どうでもいいんで、話し合いなら時間と場所を弁えてもらえませんか？」
『何だと･･･』
YG「あんまりうるさいと、警察呼びますけど？」

スマホをちらつかせると、男は苦い顔して帰っていった。

一度玄関を閉め、Aにメッセージを送る。

お前の帰りが遅くて酒が不味くなったから、作り直してやる。着替えてから来い。
Aわかった
Aユンギ、ありがと



その直後、玄関を施錠する音が聞こえた。

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