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SJ side


久しぶりに来たこの店。
忘れるはずがない。
忘れられるはずがない。


この店、この場所で僕はあの人を――。


あの時と同じ酒を持って、僕にとっていわくつきのボックス席に腰を下ろした。

SJ「ホソガ・・・ここはさすがにきついわ・・・。」
苦笑いと本音がこぼれたその時。


「・・・主任?ここいいですか?」


その声に驚いた。


振り向いた先には・・・


SJ「Aちゃん・・・。」

僕の返事を待たず、Aちゃんが隣に座った。

SJ「・・・みんなとあっちで飲んでればいいのに。」
A「課長に行って来いって言われて・・・。」
SJ「そうだったんだ・・・。」


・・・ジュナのヤツ。気を利かせたつもりか・・・。


A「主任・・・何だか楽しくなさそうです。」

・・・気づかれてた・・・。

SJ「そんなことないよ?気のせいだよ!」

耳が赤くなるのを感じながら答えた。

A「じゃあ、どうしてここで一人で居るんですか?」
SJ「・・・たまには一人もいいかなって・・・」

それ以上は誤魔化しが利かない気がしてグラスに口をつけた。

A「一人酒は飲み過ぎちゃいますから、私がここにいます。」


ダメだよ、Aちゃん・・・。

何でそんな可愛い顔で笑うんだよ・・・。



A「また泥酔してみんなにあんな姿見せるつもりですか?」
SJ「はは・・・それはイヤだな・・・次の週から冷やかされちゃうね。」
A「だから、私がそばに居ます。・・・主任が飲みすぎないように。」



君にそんなこと言われたら・・・。


僕、離したくなくなるよ・・・。


SJ「・・・じゃ、一晩中見張る?僕の事。」
A「えっ?」
SJ「そばに居るんでしょ?」




ほら、醜い僕が出てきた・・・。



SJ「そういう事じゃないの?そばに居るって・・・」


僕が一歩詰め寄ると、戸惑った顔になるAちゃん。

A「いや、それは・・・」
SJ「見張っててくれるなら・・・もっと飲んでも良さそうだね。」

Aちゃんの手に握られたグラスに自分のグラスを軽く当てる。
澄んだ小さな音が醜い僕に合図した。


SJ「・・・また甘えていい?Aちゃんに。」

肩を抱き寄せ、Aちゃんの耳元で囁く。




醜い僕は狡猾で卑怯過ぎる。





誰か・・・僕を止めて・・・!

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年5月12日 12時

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