検索窓
今日:20 hit、昨日:5 hit、合計:177,890 hit

〜利器〜 4 ページ47

.



ひたすら掃除に勤しんで、全ての部屋……と言ってもたったの五部屋しかないが、全室掃除を終わらせた頃には明け方を迎えていた。



慣れない事をして疲れ切っていた俺は、屋敷の寝室には戻らず、掃除を終えたばかりの硬い床に小さくなって眠り込んでいた。




『ユンギ……』




暗闇に聞こえる声。夢の中にAの香りがする。


あぁ、美味そうな匂い。俺の妻はホント、美味そうな匂いしてんなぁ……。


掃除なんて慣れないことをしたせいで、腹が減っていた俺は、夢の中のAの香りに食欲を掻き立てられていた。





『ユンギ、起きて?』





『お風呂沸いたよ?』





あぁ、そうだ。風呂、入りたかったんだったよな……。

肩を小さく揺さぶられ、自分の当初の目的を夢の中でぼんやりと思い出していた。


「……え?……ふ、ろ?」

現実味があり過ぎる会話に、違和感というか疑問というか。

「うん、お風呂、湧いてるから入っておいで?」

眠気で鈍る意識を呼び起こしたのは、小さくしゃがみ込んで俺の顔を覗き込む、現実のAの甘い香りと優しい声だった。

「な、何で……ここに……?」
「何でって……チェヨンちゃんが青い顔して、ユンギ様が倒れてるー!なんて騒いでたから心配で見に来たの」
「いや、倒れてるっていうか、疲れて寝てただけで」
「そういう誤解、そもそもはユンギがベッドにいなかったから起こったんでしょ?」
「まあ、それはそうだろうけど……」
「チェヨンちゃんには、あとは私がするからって言ってお屋敷に戻ってもらったから」
「それよりお前今、風呂って……」
「ん?ここに来たらユンギが寝言で風呂入りたいー!ってずっと言ってたから」
「………………」



どんだけ風呂入りたかったんだ?俺は。
 

〜利器〜 5→←〜利器〜 3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (143 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
524人がお気に入り
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。