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〜遭逢〜 2 ページ3

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「──それよりお前、また男変えたのか?」
「は……?何っ……」

図星だったらしく、顔を真っ赤にして視線を反らした我が秘書様。
首筋に鼻を近づけると確かに香る、二日前とは違う『男』の匂い。

「俺の鼻が利くのは知ってるだろ?」
「ちょっ……社長、あのっ……」
「バラしたり脅したりしないからさぁ?いいだろー?」

耳元で囁くとまぁ〜目が泳ぐ泳ぐ。
 

「……こ、今回だけですよ?」
「やぁー!我が秘書様、お慈悲をありがとうございまーす」

それじゃお先にと、ジャケットに袖を通し、手をヒラヒラっとして堂々と社長出勤ならぬ社長退勤。

ちょろいちょろい。
見た目堅物の癖に、そんだけ遊んでるなんて他の連中には知られたくない気持ちは分かるよ?
でも俺にとっては極上の交渉材料にしかならねぇっての。


ただいま連勝記録更新中。この手で秘書様との交渉が失敗した試しはない。

 




会社を後にしてふらふら町を徘徊する俺。

昼下がりの午後。人の往来は激しくないものの、ここはオフィス街。営業で出歩く人々が忙しなく俺の横を流れていく。

人の流れに逆らって歩を進めていると、すれ違ったスーツの女からふわりと漂う、砂糖菓子のような甘い香りが俺の鼻を擽った。

「お、さっきの女、『美味そうな匂い』」

足を止め、振り返ると急ぎ足で真っ直ぐ背筋を正して歩く後ろ姿。
俺との距離はあっという間に広がり、人混みに紛れ、間もなく見失った。

「惜しかったな……」

縁が無かったって事だな。仕方ねぇ。


俺は再び前を向き、歩き出した。




 


俺がここまで鼻が利く理由。


俺は所謂ヴァンパイアと呼ばれる存在。
人間の、特に女の生き血を好む不死の存在。

俺等の好む女は、健康に問題がなく、余計な強い匂いをつけていないこと。
美味そうな好みの女を見つけるには、鼻が利かなきゃいけないからな。

独身で更に処女なら文句なし。
そんな身持ちの固い女は口説いたところでそう簡単には落ちてくれないが、攻略のしがいがあっていい。


長生きしてたらそんな刺激が欲しくなるもんだ。

〜遭逢〜 3→←〜遭逢〜 1



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作品ジャンル:恋愛
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時

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